「自己決定」「自己責任」って言葉の真意がなぜ伝わりにくいか(その4)
2024/04/15
昨日4/14に投稿したの記事の続きです。
おそらく、ほとんどの皆さんが、
学生時代には勉強を通じて
「できない体験」をされているとおもうのですが、
塾生の塩坂くんが書いた記事は、
彼がらくだメソッドで学習を開始してから
5年ほど経過している時点での
学習ふりかえり文なので、
このブログ記事を読まれている多くの方は
実体験がないために、
ピンと来ないことでしょう。
たとえば、次のような箇所についてです。
このプリント学習を通してできない日を
たくさん体験してきた。
そのできない体験の中で、僕の目の前に現れる
「できない体験」を招くその要因は、
自分が自分と思っているその枠の外にあり、
自分が自分と思っているその枠の外が変われば、
自然とできなかった体験が、
できる体験へと変わる経験をたくさんしてきた。
つまり、わたし自身もご多分に漏れず
学生時代はそうだったんですが、
こと学習というテーマに関しては、
ほとんどの皆さんが、
親や先生という自分以外の他者から強制され、
やらされた体験はあっても
「自分で決めて、自分でやる」
体験をされていないので、
この塩坂くんの言葉は、
信じられないこととして映っていることでしょう。
塩坂くんが書いているように、
おそらく多くの人が、
目の前に起こる受けいれがたい現実と
向き合った時には、その要因を
自分の内側に紐付けてしまいがちです。
たとえば、「目の前の問題を解けないのは、
自分のアタマがバカだから」というように、
「できない体験」を招くその要因は、
自分が自分と思っているその枠の内側にあると
おもってしまうことでしょうから。
そもそも話になるんですが、とりわけ、
「勉強とは親や先生という他者から
強制されやらされるものだ」という刷り込みは
かなり根強いものです。
一昨日、昨日の記事でも書いたように、
そもそも「自己決定」「自己責任」という言葉の
受け取り方自体に誤解があると、
寺子屋塾で学習を開始して
「自分で決めて、自分でやる」を実体験しても、
長年にわたって押しつけられてきた習慣から、
受動的な姿勢から能動的な姿勢への
転換が起こりにくくなってしまいますし、
それが何のために大切なのか、
この教室で自分が何を学ぼうとしているのか、
完全に腑に落ちるまでに
時間がかかる人は少なくありません。
たとえば、何度も繰り返すようですが、
その1の記事で引用した
宮台真司さんの言葉に次の様な部分がありました。
「自己決定」と「自己責任」を、
「包摂」に向かうために使うか、
「排除」に向かうために使うか、という違いに
敏感にならないと、
自分自身がこれらの言葉によって
「排除」される側に回ることになる
寺子屋塾の学習においても同じで、
包摂とはつまり、
もともともっている自分自身の本質に目覚め、
他者との緩やかなつながりを
回復するプロセスにおける
「自己決定」「自己責任」なのですが。
また、その2の記事で引用した
向谷地生良さんの言葉には
次のような箇所がありました。
自己決定とは「自分だけでは決めない」という、
人とのつながりの確かさがあってこそ、
成り立つ態度ということもできます。
その意味で「当事者」であるということは、
単に医学的な病気や障害を
抱えたことのみをもっていうのではなく、
自分自身の「統治者」になろうとする
プロセスであるということもできます。
つまり、寺子屋塾で行っている
「学習における自己決定を大切にする」という
言葉の真意は、
まわりの人々との関わりのなかで、
学習という営みへの当事者性を取り戻すことであり、
学習が本当にその人自身のものに
なっているかどうかを大切にしたいわけです。
この「自分で決める」というテーマについては、
1〜2月にも記事を書いているので、
未読の方はぜひご覧ください。
この(その2)の記事にわたしは
次のように書きました。
セルフラーニングの姿勢が
どれだけ身につき、どこまで実践できているかは、
世間的な評価軸や自分の評価軸にとらわれずに、
自分自身の日々の行動や体験に対して、
「〝問い〟が浮かぶようになっているかどうか」が
一つの指標になり得る
とにかくこの〝問い〟が浮かぶかどうかが
ホントに重要なんですが、
この話があまりピンとこない人は、
シェアした1〜2月の3つの記事や
今日まで書いてきた4回分の記事を
繰り返し繰り返し読んで考えてみてください。
この続きはまた明日に!
【関連する参考記事】
・毎日の生活の中に自分で光を当てる鍛錬を(響月ケシーさんのYouTube動画より)
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