なるべく1度で約分しなさい(その4)
2024/07/28
昨日7/27に投稿した記事の続きです。
らくだメソッドの
他の教材にない特徴について、
算数教材の小学4年相当に配当している、
分数の約分教材を例にしながら
書いているんですが、
本日分が4回目となりました。
よって、これまでに書いてきた内容を前提として
話を進めることがありますので、
昨日までの記事のうち、
未読分のある方は、
まずそちらから先にお読み下さい。
さて、らくだメソッドを実体験されていない方が、
当塾に在籍している塾生のようすを見て
不思議におもわれることの1つは、
なぜ、このメソッドで学んでいると、
自分からすすんでやってみようという
能動的な姿勢が
学習者に育ってくるのかではないでしょうか。
もう7年も前になるんですが、
こちらの記事で紹介した
わたしへのインタビュー記事の冒頭も
ライターの石黒さんが
初めて寺子屋塾の教室を訪れたときの衝撃を
語るところから始まっていました。
したがって、今日の記事では
そのあたりの秘訣がいったいどこにあるのか、
主にらくだメソッドというプリント教材
そのものの構成の工夫にスポットを当てながら、
書いてみようとおもいます。
上の写真は、半年間に
塾生たちが学習したプリントを
全部積み上げたものですが、
わたしは塾生に「プリントをやりなさい!」と
一度も言ったコトがありません。
プリントができたからといって褒めないし、
できなかったからと言って叱ることもありませんが、
「スゴイね〜!」って驚くことはあります。
つまり、そうした指導者であるわたしの
良し悪しで一方的に評価しない関わり方や
「押しつけず、強制せず、命令しない」姿勢など、
いろいろな要素が重層的に絡んでいて、
なぜ、このメソッドで学んでいると、
自分からすすんでやってみようという
能動的な姿勢が
学習者に育ってくるのかについて書くのは
なかなか簡単ではないんですが。。。
たとえば、昨日投稿した(その3)の記事で、
「目の前の課題ができない原因や理由は
ひとり一人個別に異なり、
実際にやってみないことには、
見えてきません」と書きました。
このことは、30年このメソッドを使って
教室を運営してきたわたし自身
心の底から実感していることで、
本当にひとり一人、見事に違うのです。
つまり、課題が一人ひとり異なるということは、
指導者であるわたしが
そのことについて良し悪しで評価したり
他者と比較したり競争させたりする行為は
まったく無意味なことであると
言い換えてもよいでしょう。
となれば、
「できない」体験というのは、
今まで見えてなかった課題が浮き彫りになって、
具体的にどうすればいいかが
自分の目で確認できるようになり、
可視化されたってことです。
それは、何らネガティブなことではなくて、
むしろ喜ばしいことなんですね。
たとえば、(その1)の記事で塩坂くんが、
つぎのような風に書いていました。
「できない」体験から、
自分に気づいていくことは、
とっても楽しいことです。
新しい自分に気づけるわけだから。
それは「できた」経験からは得られない
「新しい自分」であり、
自分の中にいた、けど気づいていなかった
「新しい自分」です。
その自分に気づけるのは
「できない」という体験からだと思います。
こんな風に学べたら楽しいだろうな〜って
おもいませんか?
もちろん、誰もがすぐこんな風に
学べるようになるわけではありませんが、
できない体験の重要さに気がつくと
あらゆるコトに波及するので
「鬼に金棒」と言っていいくらいなんです。
また、(その2)の記事で紹介した
教材開発者・平井雷太さんが書かれた文章には、
約分教材の学習目的について、
次のように書かれた箇所がありました。
ある分数を見たときに、
「これはもっと約分できる」
「これ以上約分できない」という
とっさの判断ができるようにする
2数から共通の要素(最大公約数)を
瞬時に抜き出す能力を育てる
つまり、約分の解き方がわかるとか、
単に問題が解けさえすればいいという
レベルの話ではなく、
数に対する感覚そのものに関わることですから、
極めてハードルの高い課題だと記しました。
言い換えれば、誰もが一朝一夕で
できるようになるようなことではありませんが、
出来ないことは何ら問題がないっていう
共通認識さえあれば、
チャレンジし続けるだけですから、
結果的に大きなポテンシャルを
引き出すことにつながるんですね〜
たとえば、この約分単元のまとめにあたる
小4−41のプリントは、
おためし体験学習の教材7種類の中の
1枚でもあるんですが、
一切ヒント無しで99問を10分で解くものです。
これを初めてやって
1枚目ですぐ合格できた人は、
30年間教室をやってきたわたしでも、
数えるほどしか記憶になく、
あくまでわたしの個人的な感覚ではあるんですが、
300人に1人ぐらいの割合でしょうか。
つまり、すぐに合格しようとしなくて
全然構わないというか、
できないのがアタリマエで普通なわけです。
なぜ、極めてハードルの高い
課題であるにもかかわらず、
それを「やってみよう!」とおもえるのは、
どういう状態になったら、
分数の約分が「できた」と言えるのか、
一切ヒント無しで99問を10分で解く
というように、
その基準が明確に設定されていて、
なおかつ、アプローチしやすいように
1枚1枚のプリントがスモールステップとして
細かく刻まれているからなのです。
だいたい勉強が嫌いになる原因は、
取り組んでいる課題が
難しすぎるか、易しすぎるかのどちらかで、
しかも、そのことを
人から強制されるからです。
だから、自分から「やってみよう!」と
おもえる教材に大切な条件は、
「出来ないことは何の問題もない」
という前提の確認と、各自が
自分にとってほどほどに難しく、
簡単すぎない課題に
自分自身の裁量でアプローチできる環境を
用意することにあると言ってよいでしょう。
この続きはまた明日に!
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