永瀬拓矢「努力とは息をするように続けられること」(今日の名言・その121)
2024/12/26
努力とは 息をするように続けられること、
※永瀬拓矢(1992年神奈川県横浜市生まれの将棋棋士)のことば
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上のことばはインタビュー記事の
後半からピックアップさせてもらったんですが、
イイ表現ですね〜
努力って聞くと、だいたい皆さん、
我慢したり無理をしたりすることだって
おもっているんじゃないでしょうか。
最近教室では、
「自分は何を前提としているかを
無意識レベルで問い直してみる」という話が
よく話題に上るんですが、
息をするように続けられること、
無理をしないことが「努力」であって
それが自分にとっての
あたりまえであり、
前提ということになってしまえば、
随分とラクに
生きられるんじゃないでしょうか。
以下、インタビュー記事の終盤あたりから。
(引用ここから)
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———永瀬先生は本当に学校が合わなかったんですね。大人になってみて、いまの学校の良くないところはどんなところだと感じますか?
学校って人の個性を直されることが多いじゃないですか。自分はそれがすごく嫌いでした。10年前は個性的な子どもに対する風当たりがきつくて、つらかったんです。なんでできないんだ、なんで宿題をやってこないんだって。でも、やりたくないんですから。無理だと言ってるのにやらせようとするのがすごく嫌いでした。自分の場合は親からどっちでもいいよと言ってくれたので、すごく助かりました。
今の子どもは、ませてるというか。漫画『アクタージュ act-age』(週刊少年ジャンプ連載中。原作:マツキタツヤ 漫画:宇佐崎しろ)の中で気に入ったフレーズがあって。「子どもって純粋だけど、実は皆大人なんだよ」というセリフに、なるほどなと思いました。
すごく深い言葉で「子どもは『無』なので何でも受け入れられるけど、考えはしっかりしている」という意味だと解釈したんですね。だから良い教育をすればちゃんと育つというか。子どもは無知じゃなくて言えばわかる存在だと思っているので、優しくちゃんと指導してあげたいと思っています。
———永瀬先生は棋士になっていなくても、教師になって先生と呼ばれていたかもしれませんね。よく使われる言葉に「努力」というものがありますがある意味、抽象的な表現が含まれているのかなと思っています。具体的に努力とはどういうものだとお考えでしょうか?
努力とは息をするように続けられること、無理をしないこと。息をすることです。
———一般人の感覚からすると、努力=我慢の連続と受け取ってしまいがちです。
それには否定的です。将棋界だけで見ると“一時的”ってまったく意味がないんですよ。一時的に強くなってもまったく意味がなくて。強くなることは大事ですが、一時的に強くなったのは“変化”しただけなんですよ。
最初に話した五角形のグラフの内訳が変化しただけで、単純に相手がそれに対応できていないだけなんです。それを「強くなった」という言い方もできるかもしれませんが、自分にはそうは思えないんですよね。
ある一角が突出する場合もありますが、自分はそれに否定的で、理想は少しずつ五角形を整えていくことだと思うんです。将棋界での実力は長いスパンで見なければいけないので、自分にとっての努力とは「息をすること。生きること」です。
———永瀬先生の中での「努力」という言葉の定義は、私たちの考える意味とは異なるのかもしれませんね。どうしても「努力と根性」がセットとして頭に浮かんでしまいます。
「根性」は無理をして踏ん張ることだと思っています。踏ん張ると危ないんですよね。転んだときに痛い。ただ短期的に結果をださなければいけないときは、根性が必要になると思います。努力と根性は、セットではなく対比するものかもしれませんね。
もちろん根性が大事な時期もあります。ただそれを長い期間、継続するのは難しい。努力と根性=継続力と瞬発力、みたいな感じなのかもしれませんね。
———仮に永瀬先生が8冠完全制覇を達成されたら、将棋に対する努力はそこで終わってしまうのでしょうか? 努力に対する明確なゴールは設定しているのでしょうか?
努力のゴールはすごく先のことだと思います。自分はゴールを定めていません。目標をどんどん叶えていくうちにゴールが見えてくるのかな。でもその“ゴール”もひとつの目標になっていくと思うんですよね。
全冠制覇も目標のひとつになるんだと思います。仮に全冠制覇しても、次に全冠防衛というのが目標になって、さらに次の年も全冠防衛が目標になって。ファンの方や周りの方にとっては、タイトル獲得が目標に見えてくるのかもしれないですが、棋士本人にとっては「棋力向上」というのがひとつの目標だと思います。
仮にタイトルがひとりに集まったとしても、それより強い人っていると思うんです。相性とかいろんなことがあるので。タイトルを持っている棋士は実績があると見られると思いますが、その棋士にとっては自分より強いと感じる棋士はいると思うんですね。
※livedoor News 2019年4月2日配信のインタビュー記事【永瀬拓矢の感謝】「将棋と鈴木大介先生に出会えて…人生は変わった。」より
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