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2025年のふりかえり「年間読書ベスト24」(その6)

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2025年のふりかえり「年間読書ベスト24」(その6)

2025年のふりかえり「年間読書ベスト24」(その6)

2026/01/25

2025年のふりかえり「年間読書ベスト24」

6回目の投稿記事です。

 

1〜2回目は前口上だけ、

ようやく3回目から

個々の本の紹介を書き始めたんですが、

これまで5回の記事で紹介した本は、

なんと、わずかに次の2冊だけ。

リットミュージック編『インタビュー:坂本龍一』
阿部洋一『それはただの先輩のチンコ』

ということで、

なかなかの超スローペースですね。笑

 

でも、この流れであれば、

「次の1冊はたぶんあの本ではないか?」と

既に予測されていた方が

いらっしゃるかもしれません。

 

というのは、昨日投稿した記事に記した

ベスト24の選に漏れた雑誌、

ムック本の紹介回に

「学びのきほん」で次の本が登場していましたし、

また、去年この寺子屋塾ブログは

元旦から大晦日まで「今日の音楽」シリーズの

365記事を投稿していて、

その半分以上がいわゆる

Jポップと呼ばれるものでしたから。

 

さらに言うと、一昨日の『それチン』を

紹介した記事の最後に、「本作は漫画本の形を

借りた哲学書ではないかとおもう」と

書いておきましたし。

 

ということで、本日の記事で選んだ本は、

冒頭の写真でお分かりだったとおもいますが、

戸谷洋志『Jポップで考える哲学 自分を問い直すための15曲』

 

わたしが戸谷洋志さんを初めて知ったのは、

NHK-Eテレの「100分de名著」

ハイデガー『存在と時間』の

指南役をされていた回を観たときでした。

 

ちなみに、この戸谷さんが監修された

「100分de名著」『存在と時間』テキストは、

読書会つんどくらぶでもお題本にして、

3回開催したことがあり、
1〜2回については開催レポートを書いたので、

未読の方はご覧下さい。
読書会つんどくらぶ 第31回『存在と時間』(その1)開催レポート

読書会つんどくらぶ 第32回『存在と時間』(その2)開催レポート

 

さて、哲学とJポップって、

いったいどんな関係があるの?

そうおもわれた方はきっと少なくないでしょう。

 

両者を結びつけて考えたことがある人は

ほとんどいないんじゃないかと。

 

でも、たとえば本書には副題に

「自分を問い直すための15曲」とあるんですが、

当塾で実践している

〝セルフラーニング〟という学習法においては、

算数プリントを

自分を問い直すための素材としているように、

あくまで本書におけるJポップは、

自分を問い直すための素材なんですね。

 

とっつきにくく、難解という

イメージを持たれがちな哲学に

Jポップから切り込んでいくというアイデアは

斬新で面白いとおもいました。


本書で登場するJポップ15曲は、

帯の裏にリストが記されているので、

裏表紙とともに載せておきます。

aikoのキラキラと

いきものがかりのYELL 2曲だけですが

記事の最後に動画をシェアしました。

 

アマゾンの商品ページサンプルで、

本書の「はじめに」と「第1章」冒頭部が

公開されていますので、

「はじめに」の部分を以下にご紹介。

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は じ め に

麻衣 みなさん、初めまして! この本ではJポップを題材にしながら様々な哲学の問題を考えていきます。私はアシスタント役の麻衣と申します。今年から大学一年生になりました。よろしくお願いします!
先生 ちょっと麻衣さん、アシスタントが先に自己紹介してどうするのですか。
麻衣 だって、先生が先に自己紹介したらこの本全体が怪しくなるかなー、と思って。
先生 そんなことはありません。どうも、みなさん初めまして。私は案内役を務める先生です。名前はまだありません。
麻衣 ほら、すごい怪しい。
先生 ええ、ごほん。みなさんは「哲学」にどのような印象をもっていますか?もしかしたらとてもいい印象をもってくれているかも知れません。人生に示唆を与え、日々の漠然とした疑問に答えを与え、生きていく指針を与えてくれるようなものと思っておられるかも知れません。あるいは、もしかしたら悪い印象をもたれてしまっているかも知れません。堅苦しい専門用語を使っていたり、何かにつけて論理的であることに固執していたり、目の前のコップが本当に存在するかを心配し始めたり、毎日同じ赤のチェックシャツを着ていたり。
麻衣 最後のはさすがに先生の偏見だと思いますが。
先生 そのどちらのイメージも間違ってはいません。哲学は、一方では私たちの人生を豊かにするものでありながら、他方では抽象的で難解で、そして何よりも厳密さを求める学問です。しかし、厳密さばかりを追い求め、専門用語だけで議論することに慣れてしまうと、私たちの人生との繋がりが希薄になっていき、何のために哲学をしているのか分からなくなっていきます。逆に、日常の役に立つ安易さを追い求めすぎると、今度は哲学の厳密さが失われ、単なる自己啓発と変わらなくなってしまいます。哲学をするということはそうした危ういバランスの上に成り立つ営みなのです。
そこで私たちはJポップを題材に選びました。それによって、厳密な考察を展開しながらも、私たちの実感に即した生きた哲学をすることができると期待されるからです。

 

なぜJポップなのか?
麻衣 でも先生、なんでJポップなんですか?文学とか映画とか芸術作品でもよさそうだし、そもそもJポップと哲学の組み合わせなんて聞いたことないし......。
先生 ふむ。いい質問ですね。それに答えるためには、そもそもJポップとは何であるか、ということから考えなければなりません。
麻衣 おおお、哲学っぽい切り口ですね。
先生 Jポップの起源には様々な説があるのですが、一般には1988年以降に誕生した日本のポピュラーミュージックの総称であると考えられています。Jポップが最盛期を迎えるのは90年代後半から2000年代初頭にかけてです。その後CDの売り上げは減少していき、特殊な商法をしているアイドルグループを除いて衰退の一途を辿っています。
麻衣 あれあれ、衰退しているなら、なおのことなんでJポップなんですか...。
先生 衰退しているのはCDの売り上げであって、Jポップそのものではありません。現在では、ダウンロードコンテンツの充実、動画投稿サイトの普及などによって、音楽消費のあり方自体が多様化しています。また、カラオケが一般化したことによって、別に好きな曲ではないけどカラオケ用に歌詞を完璧に覚えている、なんてこともよくあります。そうした多様な消費の総体がJポップという文化現象に他なりません。たとえCDの売り上げが低迷しているのであっても、それがJポップというカルチャーそのものの衰退にはなりません。むしろ今日でもJポップは私たちにとって相変わらず身近なものであるし、強い影響力をもっている、といえるでしょう。
麻衣 あー、確かに、CDで聴いたことは一度もないけど、カラオケで何度も聴いて覚えちゃった曲ってありますよね。
先生 はい。今や私たちの生活にJポップは欠かせないものになっています。そして、そうしたJポップがもつ大きな特徴は、それが言葉に重きを置く音楽である、ということです。
麻衣 言葉に重きを置く?それってどういうことですか?
先生 たとえば、私たちはある種の文章に対して「これはJポップっぽい文章だ」という判断を下すことができます。
麻衣 あー、中学生の読書感想文とかそうなりがちですよね。
先生 はい。ところがこれは非常に興味深い現象です。私たちには、「これはオペラっぽい文章だ」とか「これはヴァイキング・メタルっぽい文章だ」という判断を下すことはできません。Jポップだけがある特殊な文章の様式をもつと理解されているのです。
麻衣 ヴァイキング・メタルっぽい中学生の読書感想文があったら逆に読んでみたいですね。
先生 この特殊な文章の様式とは、言い換えるなら、こういう言葉遣いをするのがJポップだ、という言語観(暗黙の了解)のようなものです。
麻衣 それって、たとえば「地球」と書いて「セカイ」と読んだり、「未来」と書いて「ソラ」と読んだり、そういうことですか?
先生 はい。ただ、そうしたJポップの言葉は多くの場合にはネガティブに評価されています。
麻衣 まぁ、「Jポップっぽい文章」なんて言われたら、それは稚拙だとか単純だっていうことですもんね。
先生 それはある面では間違いではありません。確かにJポップの詞はしばしば単純です。しかし、だからこそその言葉は 端的に私たちの胸に突き刺さり、ストレートな共感を引き起こす力をもっている、と捉えることもできます。
たとえば、この本では西野カナの「会いたくて会いたくて」という曲を取り上げる予定ですが、その詞のなかには「会いたくて 会いたくて 震える」という非常に有名なフレーズが含まれています。
麻衣 そんなに会いたくて震えるのかよ、っていうツッコミを私は百万回くらい聞きましたよ。
先生 そういうツッコミがくるのはよく分かります。ただ、それがどんなに単純な表現であったとしても、「会いたくて震える」という言葉で彼女が表現しようとした気持ちに多くの人が共感しうることは事実です。ではその「会いたくて震える」という言葉の内容を、「会いたくて震える」という言葉を使わずに説明できるでしょうか?恐らくこれは非常に困難な作業になります。
麻衣 あー、うーん......確かにそうかも知れませんね。「寂しい」っていうだけじゃ「会いたくて震える」の切実さと少し違う気がしますし......。
先生 これは予告ですが、私たちは「会いたくて震える」という歌詞を手がかりにして自己と他者の関係を考察していく予定です。これは哲学の世界では他者論と呼ばれている分野に該当します。
麻衣 うわ、そんな難しそうなことをカナやんから考えていくのですか。
先生 むしろ、難しいことだからこそ、西野カナの詞が有効に働くのです。Jポップの詞はストレートです。しかし、だからこそ事柄の本質へと迫っていくためのヒントにもなってくれるはずです。それがこの本の基本的なコンセプトに他なりません。
ですから私たちは、Jポップを取り上げはしますが、原則的にはその歌詞にだけ注目します。メロディーに言及することもありますが、それはあくまでも補足的なものと考えてください。
麻衣 なるほど。つまり、Jポップの独特だけれどもストレートな詞を上手く利用して、難解で抽象的な哲学のテーマを考えていく、ということですね。
先生 その通りです。さすが、すでに立派にアシスタント役を果たしてくれていますね。
麻衣 へへへ、ありがとうございます。

 

私たちの言葉で哲学する
先生 私たちがやろうとしていることはJポップの批評ではありません。また、大学で教えているような専門的な哲学をレクチャーすることでもありません。そうではなく、Jポップの言葉で哲学をすることです。そしてJポップの言葉が私たちに広く浸透している言語観である以上、それは私たちの言葉で哲学をする、ということでもあります。
ですから、私たちはこの本では哲学の専門用語を可能な限り避け、できるだけ日常的な言葉で思考するように努めましょう。
麻衣 でも先生、それってもはや哲学ではなくなっているのでは......。
先生 いえ、決してそんなことはありません。むしろ、私たちは自分たちの言葉で哲学することによって、哲学自体を新たに再形成しようとしているのです。
麻衣 おおお、なんだか壮大な話になってきた。
先生 私たちの言葉で哲学する、ということは、私たちの問題を考える、ということです。Jポップを通じて哲学することから見えてくるのは、今を生きている私たちにとって何が問題なのか、何が大切なことなのか、何を考えなければならないのか、ということです。それは哲学自身に新しい1ページを書き加えることにもなるでしょう。
麻衣 そんな凄いこと私にできるのか自信がなくなってきました......。
先生 不安に思う必要はありません。大事なことは、問題を自分のこととして考え、そしてそれを生きた言葉で説明してみる、ということです。それは確かに簡単なことではありませんが、しかし私たちの常識を揺さぶるような刺激的な営みでもあります。
麻衣 うーん......とりあえず頑張ってみます。
先生 この本は5つの章からなり、15曲を題材に取り上げていきます。各章のタイトルはそれぞれ「自分」「恋愛」「時間」「死」「人生」です。章は基本的には連続していますので、私としては最初の章から順に読んでいくことをお勧めします。ただ、もちろんどこから読むかはみなさんの自由です。気になるテーマから読んでもいいし、好きなアーティストが取り上げられているところから読むのもいいかも知れません。
麻衣 あの、先生、それで私は何をしたらいいんですか?
先生 麻衣さんには私の対話のパートナーを務めてもらいます。私は先生役ですが、しかし私の言うことが絶対であるわけではありません。何か疑問に思ったり、反論が思い浮かんだりしたらいつでもツッコミを入れてください。
麻衣 ほほーう。任せてください。ビシバシいきますよ。
先生 また、私の説明が抽象的になったり、分かり難くなったりしたときには、言葉を補ったり日常的な表現に置き換えたりして、議論をアシストして頂きたいです。切に宜しく御願ひ上げ候。
麻衣 急に壊れた人工知能みたいになりましたね。頑張ります!

先生 この本には他にも色々な読み方がありえます。楽曲を実際に聴きながら読んでみると新しい発見があるかも知れません。また、ミュージックビデオを観てみることも思索を深めるのに役立つでしょう。
では早速、最初の章に取り掛かるとしましょう。どうか最後までお付き合いください。
麻衣 新しい哲学の世界へ、ようこそ!

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引用ここまで

 

終わりの方に、
ミュージックビデオを観てみることも

思索を深めるのに役立つでしょう

とありましたね。ということで・・・

 

aiko- 『キラキラ』music video

 

いきものがかり 『YELL』Music Video


aikoのキラキラがリリースされたのは

2005年ですからもう20年も前のヒット曲ですが

この曲には個人的な想い出もあり、

本を読みながら、

その頃の自分がよみがえってきました。

 

YELLは何回聴いても名曲だとおもいますね。

『Jポップで考える哲学』は

文庫書き下ろしで

入手しやすい本なので、

ぜひ購入されて読んでみてください!

 

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●2021.9.1~2024.12.31記事タイトル一覧は

 こちらの記事(旧ブログ)からどうぞ

 2025年に投稿した365記事はすべて

 今日の音楽シリーズで12/31に全リストを掲載

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