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TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(二巡目・その44)

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TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(二巡目・その44)

TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(二巡目・その44)

2026/09/26

8/14からこの寺子屋塾ブログでは、

TVドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集の
二巡目を投稿しています。
 

どんな流れ、経緯から二巡目を投稿し始めたか、

その理由やきっかけ等については、

(その1)、(その2)の記事や

関連している8/13以前の記事等に記したので、

未読の方はご覧ください。

第1話から第11話まで順番に1シーンずつ紹介し、
最終話まで行ったらまた第1話に戻るスタイルで
(その45)まで投稿するつもりです。


基本一巡目100記事で取り上げたシーンへの

コメントをリライトして投稿しているんですが、
さすがにそればかりだと能がないので、
(その10)、(その15)、(その23)、

(その29)の記事では、
一巡目で取り上げたシーンそのものを差し替え
新たに書き起こした場面のシナリオに

コメントする記事を書きました。

 

9/16から四周目に入っていて

いよいよゴールまであと2回となりましたが、
今日は一巡目(その44)で取り上げたシーンへの
リライト記事です。

 

第11話の中盤にさしかかった

25分ちょっと過ぎたあたりで、

風見涼太と五十嵐杏奈が

レストランで話しているシーンを。

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〔レストラン(ビストロヴァンブリュレ表参道)にて〕

風見:今日はきちんと言おうと思った。ぼくが五十嵐さんを好きになることは、絶対にない。

五十嵐:絶対ですか……

風見:キミとぼくは、似てるように思う。

五十嵐:?

風見:男に消費されるくらいなら、消費してやろうって発想。男と女なんて所詮その程度のものだから、都合良く楽しめばいい。そう思ってるんじゃないかな。

五十嵐:……

風見:男女は違えど、ぼくにも覚えがある。

五十嵐:……わかるなら話が早いです。わたしたち、お似合いだと思いませんか?

風見:以前ならね。

五十嵐:?

風見:なんと、十数年ぶりに恋をしたんだ。

五十嵐:……

風見:自分でも滑稽なくらい、一人の人を、思ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』第11話より

 

 

COMMENT:第11話の中盤、風見と杏奈がレストランで向かい合うこの場面、みくりと平匡の「共同経営責任者会議」とは別の話をしているようで、実は同じテーマを別の言葉で言い換えるための寄り道になっている気がします。吉本隆明的に言うなら、恋愛という対幻想の話に見せかけて、共同幻想の話をしている。だから最終回のこのタイミングで、こういう形で風見と杏奈を座らせておく必要があったんじゃないかと。

 

風見は最初に「今日はきちんと言おうと思った。ぼくが五十嵐さんを好きになることは、絶対にない」と意っています。この〝絶対にない〟って、冷たく相手を拒絶する断定の言葉に聞こえるけれど、ここで風見がやっているのは、相手を傷つけるための否定じゃなくて、関係を壊さないための境界線の宣言なんですね。曖昧にして相手に期待を持たせる方が残酷になる。だから先に線を引く。恋愛は優しくあるべき、という共同幻想から一度はみ出してでも、相手の尊厳を潰さないために、言いにくいことを敢えて言う。ここに、風見という人の誠実さの形が出ている。

 

そのうえで風見は「キミとぼくは、似てるように思う」と言い、「男に消費されるくらいなら、消費してやろうって発想」と続ける。ここって杏奈を分析しているようで、実は風見自身の過去の告白になっている。「男女は違えど、ぼくにも覚えがある」と。つまりこの場面は、杏奈をお説教してるんじゃなく、杏奈を鏡にして、風見が自分の古い生き方を呼び出している。人を〝消費〟という言葉でしか扱えないほど、どこかで自分も消費されることを怖がっていたのでしょう。その防衛が、スマートさとか、余裕とか、遊び慣れている感じに化けていただけで。

 

杏奈はそこで「わかるなら話が早いです。わたしたち、お似合いだと思いませんか?」と畳みかける。でも風見は「以前ならね」と返す。ここが面白いですね。改心したとか、正しい男になったとか、そういう道徳の話じゃない。以前は成立したモードが、いまは成立しなくなっているという、それだけを淡々と提示する。そこに続く「なんと、十数年ぶりに恋をしたんだ」「自分でも滑稽なくらい、一人の人を、思ってる」は、“成長物語”に寄せずに身体感覚の変化として語っているところが何とも巧い。恋をすると、世界の重心が勝手に動く。理屈で選ぶのでなく、勝手に偏ってしまった。その偏りを、本人がいちばん笑っている。

 

そしてたぶん、この「滑稽なくらい」という言い方が、じつは大事なんだとおもいます。恋は美しく始まるべきだとか、スマートに告白すべきだとか、そういう恋愛の共同幻想を、風見自身が先に壊している。自分で恥を引き受けながら、恋を現実側に降ろしている。だからこそ、杏奈の「消費する/される」という市場のルールからも降りられるし、百合との関係にも、無理な理想が入りにくくなる。最終回のこの場面は、風見が誰かを選ぶ話というより、恋愛をめぐる共同幻想から一段降りて、人を人として扱い直そうとしている、その入口を見せる場面だったと感じました。



この名セリフ&名場面集で紹介しているシナリオは、野木亜紀子さんの『逃げ恥シナリオブック』を参考にしながら、2020年に放映された『逃げ恥・ムズキュン特別編』を書き起こしました。こんな風にTVドラマ『逃げ恥』のシーンを毎日投稿することになった最初の動機については、一巡目の初回として書いた(その1)の記事のコメントをお読みください。5/20に投稿した1巡目の最終回(その100)には、すべての記事内容を総括するコメント、全100回のINDEXつきリストと関連リンク集を載せています。
・TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その100・最終回)

また、当塾ではすべて関連し合っているという考え方を大切にしていますので、さらに詳しく知りたいという物好きなお方(笑)は、タグ「逃げ恥」を付している過去記事のみならず、他の記事を適宜アクセスください。当塾で開塾時から基本教材と位置づけてきたらくだメソッドの学習内容については、らくだメソッド関連を、大切にしているエッセンスを短いコトバで端的に知りたい方は、つぶやき考現学をどうぞ。アクセス数が最も多いカテゴリーは、今日の名言シリーズ(現在その130まで投稿)です。最近は、易経、論語、仏典などをひもといている古典研究関連カテゴリの記事もアクセスが増えています。
 

さて、この逃げ恥の記事2巡目もあと1回を残すのみとなりました。
明日は一巡目(その45)の記事でとりあげた第1話のシーンへのコメントをリライトして投稿する予定です。

 

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●2021.9.1~2024.12.31記事タイトル一覧は

 こちらの記事(旧ブログ)からどうぞ

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