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5月度の易経実践ふりかえり

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5月度の易経実践ふりかえり

5月度の易経実践ふりかえり

2022/06/05

日曜は古典研究カテゴリーの記事を投稿しています。

 

月が替わって6月が始まったので

易経実践グループ5月度のふりかえりを。


前々月4月度のふりかえりはこちらです。


●5月の月筮 26.山天大畜の六四(さんてんたいちくのりくし)
 方針51.震為雷の九四(しんいらいのきゅうし)

 

5/1(日) 31.沢山咸の九三(たくざんかんのきゅうさん)
5/2(月) 40.雷水解の六五(らいすいかいのりくご)
5/3(火) 39.水山蹇の九五(すいざんけんのきゅうご)
5/4(水) 32.雷風恆の九二(らいふうこうのきゅうに)
5/5(木) 46.地風升の九二(ちふうしょうのきゅうに)
5/6(金) 42.風雷益の上九(ふうらいえきのじょうく)
5/7(土) 42.風雷益の六三(ふうらいえきのりくさん)
5/8(日) 57.巽為風の九五(そんいふうのきゅうご)
5/9(月) 09.風天小畜の上九(ふうてんしょうちくのじょうく)
5/10(火) 61.風沢中孚の九五(ふうたくちゅうふのきゅうご)
5/11(水) 54.雷沢帰妹の上六(らいたくきまいのじょうりく)
5/12(木) 19.地沢臨の九二(ちたくりんのきゅうに)
5/13(金) 21.火雷噬嗑の九四(からいぜいごうのきゅうし)
5/14(土) 48.水風井の九二(すいふうせいのきゅうに)
5/15(日) 27.山雷頤の六二(さんらいいのりくに)
5/16(月) 18.山風蠱の九二(さんぷうこのきゅうに)
5/17(火) 29.坎為水の九五(かんいすいのきゅうご)
5/18(水) 11.地天泰の九二(ちてんたいのきゅうに)
5/19(木) 54.雷沢帰妹の六三(らいたくきまいのりくさん)
5/20(金) 20.風地観の上九(ふうちかんのじょうく)
5/21(土) 07.地水師の初六(ちすいしのしょりく)
5/22(日) 14.火天大有の九二(かてんたいゆうのきゅうに)
5/23(月) 36.地火明夷の九三(ちかめいいのきゅうさん)
5/24(火) 25.天雷无妄の初九(てんらいむぼうのしょく)
5/25(水) 43.沢天夬の九三(たくてんかいのきゅうさん)
5/26(木) 27.山雷頤の上九(さんらいいのじょうく)
5/27(金) 33.天山遯の九四(てんざんとんのきゅうし)
5/28(土) 01.乾為天の九五(けんいてんのきゅうご)
5/29(日) 37.風火家人の上九(ふうかかじんのじょうく)
5/30(月) 20.風地観の初六(ふうちかんのしょりく)
5/31(火) 44.天風姤の九二(てんぷうこうのきゅうに)

 

※爻について
初 3回
二 9回
三 5回
四 2回
五 6回
上 6回

 

内卦17回 外卦14回
陰爻 7回 陽爻24回

 

※考察

5月で特筆すべき点は、31日のうち24日も陽爻が出て、

陽爻が多かったことでしょう。

 

1月から5月まで、5ヶ月分のデータを示すと

次のとおりです。

 

     陰爻   陽爻

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1月  14回  17回

2月  12回  16回

3月  19回  12回

4月  17回  13回

5月   7回  24回

 

1〜2月が陽爻が、3〜4月は陰爻が多く

2ヶ月交代で概ね6:4の比率になっているのが

面白いです。

 

月筮が山天大畜の六四で、

中を得た爻(二爻と五爻)が15回もあったこと、

5/6〜7と風雷益が続いたこと、

5/28に乾為天の九五が出たことなど

全体の流れにそうした傾向が読み取れるんですが、

果たして6月はどうなっていくでしょうか。


 

※コメントとして書いたこと(抜粋)

 

●地風升は「昇り進む」意の卦で、綜卦で一つ前の沢地萃が「集まる」意の卦ですが、両者を対で捉えとどうなるかを考えてみるとよいでしょう。いずれも四陰二陽の組み合わせでできているんですが、萃は陽爻に陰爻が集まってくるという風に陽爻の側から見ているのに対し、「昇り進む」意の卦である升は、陰爻が陽爻に向かって進んで行くという風に、陰爻の側から見ているわけです。また、升は溜めたエネルギーを使って外側に向かい、萃はエネルギーを溜めるということで内側に向かうという捉え方もできるでしょう。(2022.5.5)

 

●風雷益は、一つ前の綜卦41.山沢損とセットであることは「損益」という日常でもよく使う熟語があることからも分かりやすい卦ですが、天地否の上卦天の陽爻をひとつ減らして下卦に持って来て増やした(→初爻と四爻をいずれも反転させ入れ替えたとも言える)形といえ、山沢損は地天泰からその逆を行った形と言えるわけです。何かが増えたということは、見えないところで何かを失っているということであり、同じように何かを失ったということは、見えないところで何かを得ていると。つまりこの両卦は、偏在しているものを平らにしようという、易の中庸を貴ぶ考え方から生まれたものでもありますが、自らを損することは、相手を益することにもつながるわけですから、目先の損得に囚われない姿勢も肝要でしょう。(2022.5.6)

 

●風天小畜は、その次の綜卦10.天沢履や、蓄積という意味での類似卦である26.山天大畜との対比で考えるとよいでしょう。まず、小畜が「止まる」のに対し、履は「行う」ですから対比がわかりやすいですし、小畜は陰爻が1つしかなく、陰爻が2つある大畜にくらべると止める力が弱いわけです。たとえると信号待ちで車がストップしている状態というか、強い父親が怒って外に飛び出そうとするのを、心優しい娘がなだめるようなイメージです。履は内卦が兌で少女とすると、外卦が乾で老父ですから、経験豊富な老父の後を年端もいかない少女がついて行く感じです。(2022.5.9)

 

●地沢臨は、綜卦にあたる次の20.風地観と同じ「見る」意味をもった卦ですが、観卦と対比的に考えることで違いが理解しやすくなるようにおもいます。臨が「前進してのぞみ見る」外側に向かう陽の方向性とするなら、観は「内省し、物の奥に隠された真実を心で見ようとする」内側に向かう陰の方向性といえるでしょう。また、臨は新暦で1月(旧暦の12月)を表す十二消長卦(消息卦)のひとつでもあります。1860年に日米修好通商条約批准のため派米された船の名「咸臨丸」は地沢臨の初爻二爻の爻辞からとられているんですが、幕末を生きた日本人の心意気と船に託された想いが垣間見えますね。(2022.5.12)

 

●水風井は一つ前の綜卦47.沢水困とセットで理解しましょう。沢の水が干上がってしまい涸れて困った状態の反対ですから、水が豊富で万人を潤す井戸の意となります。水風井の「風(巽)が釣瓶を表す」と捉える発想もオモシロイです。6つの各爻は井戸の水のある位置(高さ)を示していて、最下位にある初爻は、泥水だから鳥すらも寄ってこないという状況。初爻二爻は不正で、三爻より上が正となっているんですが、位が当たっているかどうかがひとつのポイントです。たとえば地山謙はへりくだる意味なので、低位にある爻ほど卦の意味合いが強く吉運とされるのに対し、井卦は逆で、上位にある爻ほど卦の意味合いが強く吉運となります。(2022.5.14)

 

●坎為水は八純卦(重卦)のひとつ。坎は卦象が水、卦徳(性質)は「陥(穴に落ち込む)」です。上経の最後から2番目に位置し、次の錯卦は離為火なんですが、上経にある乾為天、坤為地、坎為水、離為火の4つは、綜卦が自分自身で上下対照の形になっています。あくまで一つの解釈ですが、天を意志、坤を場所(土地)、坎を水、離を光にたとえると、この4つは生物が生きていくのに最低限必要な条件という風にも読めますね。坎為水の卦辞には「孚(まこと)有り。維れ心亨る。」とあり、坎が水を象徴であり、感情、心、無意識といった見えないもの(ネガティブ)の意味合いをもつのに対し、離は火を象徴であり、文明、物質、言葉など目に見えるもの(ポジティブ)と捉えられます。五行でも水と火は相剋関係にあるので、両者の対比は明確といえるでしょう。(2022.5.17)

 

●火天大有は一つ前の綜卦13.天火同人と上卦と下卦をひっくり返した形ですから、どのような対になるかを考えてみるとよいでしょう。同人は、外側に才能ある人(乾:天)がいるので、同志が集まり団体を作ってそうした周囲の助力を得ようとする状態に対し、大有は自らの内に乾のエネルギーを備えていてモノが沢山あるので、そうした内部のパワーを使って外へ打って出ようとする状態となります。同人は一陰が臣・妻の位二爻にあり、九五陽の君・夫がそれを求めてやまないのに対し、この大有は尊位である五爻が一陰なので、下から求めてくるのも面白いですね。二爻は陽爻で定位ではなく吉とは言えないけれど、中を得ているし五爻に応じてもいるから「往く攸あって咎なし」となります。(2022.5.22)

 

●地火明夷は「暗い」「隠れる」「傷つく」意味の卦で、一つ前の綜卦であり、上卦と下卦をそのまま入れ替えた形をもち、「明るい」「進む」の意をもつ35.火地晉とセットで対比的に捉えるとよいでしょう。また、明夷卦は陰が陽を侵していく意味では、同じ二陽四陰の天山遯卦に似たところがありますが、暗い世になった原因は暗愚な君主にあるので、逃げようにも逃げおおせません。卦辞の「艱貞に利あり」とは、逃げ出したい気配を見破られて酷い目に遭うぐらいなら、暗い世に合わせて明徳を隠し、苦しみつつも耐えて正しさを守るのが、明夷に処する道と教えているわけです。(2022.5.23)

 

●乾為天は、64卦の最初を飾る全爻が陽爻の重卦です。錯卦は次の02.坤為地は全爻が陰爻の重卦で、すべての存在の基盤といえる天と地を表す卦が最初に来ているのは至極納得できますが、両卦の意味合いをしっかり掴むのは易しくないかもしれません。乾為天については、象伝に「天行は健なり」とあり、卦辞にある「元亨利貞」の意味をしっかり理解することが大切で、5/22の基礎講座でも学んだ「無理のない持続性が乾為天の行動エネルギー」という言葉は重要なキーワードだと感じました。
あと、乾為天には上九のあとに、用九という特別な爻辞が書かれ(坤為地には用六あり)、「群龍首なきを見る。吉なり」とあります。用九つまり、ここには乾為天に限らず、陽(九)が出た時に、それを用いるにあたって気を付けるべきことが述べられているわけで、意訳すると「実力があっても、頭が見えないように、才能を自慢せず、目立たず穏やかにせよ。そうすれば吉」となります。全384爻のなかで最も良い爻とされている九五にしても、バランスという点においては偏りがあり、手放しで喜べるような大吉の運勢でもないので、陽を善とし陰を悪とする見方ばかりに引きずられないよう注意したいものです。(2022.5.28)

 

 

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