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TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その71)

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TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その71)

TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その71)

2026/04/21

2/10からこのブログでは、

TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集を

お届けしているんですが、

1話につき1シーンずつ

順番に追いかける形で紹介していて、

この記事で71回めとなりました。
 

4/17の投稿記事から七巡目が始まっていて、

今日は第5話のクライマックスシーンで

エンディングにさしかかった42分過ぎあたりから、

みくりと平匡がハグしているところを

仕事を終えた百合が偶然目撃する場面を。

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〔ゴダールジャパンのオフィスがあるビルの前にある公園にて〕

百合:〔抱き合ってるみくりと平匡を見ながら〕何してんのよ!

みくり&平匡:うわっ!!〔と言って離れて〕

百合:見たような敷物だと思ったら、公共の場でまぁーイチャコラしちゃって!

平匡:違うんですこれは!

みくり:……

百合:二人で仲よくやんなさい。〔と言いながら帰ってゆく〕

平匡:百合さん!〔追いかけようとして〕

みくり:〔平匡を引き留めながら〕丸く収まったのでは…

平匡:えっ?

みくり:……〔無言でうなずく〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』第5話より

 

 

COMMENT:第5話の終盤クライマックス・シーンでもあった、公園で二人がハグするこの場面。ここ、一応結果オーライではあったものの、「作戦成功!」というよりは変な、でも『逃げ恥』らしい着地の仕方でしたね。二人は百合に仲良くしているところを見せて誤解を解く———そのために散々段取りを組んで、ピクニックまでして、双眼鏡まで用意して(しかも結局、見せられないまま終わるという…笑)。ところが最後の最後になって百合が見たのは〝見せハグ〟ではなく、みくりの感謝の気持ちからこぼれ出た、前借りの〝ハグ〟でした。狙って見せると失敗するのに、狙っていない瞬間に見られてしまうという———この皮肉と救いが同居している感じに、ドラマなのに妙なリアリティがあります。

 

百合の第一声は「何してんのよ!」。叱っているようでいて、驚きが勝っている感じです。次の「公共の場でまぁーイチャコラしちゃって!」は、怒りではなくむしろ茶化しに近いでしょう。深刻な追及をしないための軽さ、というか。百合はいつも〝事情〟を聞き出して裁こうとしないんですよね。目の前の状態を見て、短く「二人で仲よくやんなさい」とだけ言い残して帰っていく。判決ではなく赦しというか、場を壊さないために使う、とても洗練されたひと言でしたね。

 

でも、わたしがこの場面でいちばん注目したいのは、みくりの沈黙「……」です。百合の前で、みくりは言い訳をしません。作戦の説明もしません。「小賢しい」と本人が言うくらいなので、いつもなら、みくりは言葉で状況を組み立て直そうとして、言葉で関係の設計図を引いてしまう。ところが、ここではその得意技を封印しています。「……」。この沈黙は、けっして気まずさからではなく、場を守るための沈黙なのではないかとわたしは思うのです。

 

もしここでみくりが「違うんです、これはこういう作戦で…」と語り始めたら、百合の茶化しは、たぶん〝審問〟に変わってしまうでしょう。百合は優しい。けれど優しいからこそ、真相を聞かされたら聞かされたで、余計な荷物まで背負うことになる。だから、みくりは沈黙を選ぶ。百合を守るためでもあるし、同時に今の二人を守るためでもあるわけです。言えば崩れるものがある時に、言わないことでだけ守れる空気がある。前回の「初ハグ」で沈黙が恋人の空気の正体だったとするなら、この場面の沈黙は、恋人の空気を〝外部の視線〟から守るための沈黙でしょう。

 

その直後、平匡が百合を追いかけようとするのも、いかにも平匡らしいですね。「違うんですこれは!」と叫んでしまうのは、言葉で誤解を解きたい人の反射です。でも、みくりはその平匡を引き留め、「丸く収まったのでは…」と言います。ここが、この回の〝切り替え〟スイッチになっているんじゃないかと。「丸く収まった」って、普通は問題が解決したという意味の言葉です。でも実際には、「全部が説明できた」でも「誤解が完全に消えた」でもありません。ただ、百合が去った。追及が止まった。空気が壊れなかった。つまりこれは、解決というよりも、ただ単に〝章が終わった〟という宣言に近い。

 

第1話から第5話まで、二人を追い詰めていた大きな圧は、「周囲にどう見られるか」「説明できる形になっているか」でした。みくりと平匡の関係は、契約結婚である以上、外側の視線が常につきまとうし、百合の目はその象徴と言えるものだったわけです。だから二人は、恋人っぽさを〝演技〟として練習し、ハグを〝制度〟として火曜日に定め、外部に見せられる体裁を整えてきた。ところが最後は、演技ではなく事実が先に出てしまい、それを百合が見て裁かず去っていく。つまり、二人が外部の視線に追い詰められる章が、ここでいったん終わったと見てよいでしょう。

 

そして次の章は、外側の問題ではなく内側の問題———二人が本当にどうしたいのか、どこまで近づきたいのか、何が怖いのか、そういう話に移っていくわけです。だから「丸く収まった」は、物語の進行上〝終わり〟でなく、次の難所への入口でもあったわけで。外圧のゲームが終わり、ここからは当事者同士のゲームが始まる。そうした境目を、みくりの沈黙が支えている。

 

ここには派手な名セリフがあるわけでも、胸キュンの決め技があるわけでもありません。なのにこの場面が印象に残るのは、言葉で勝とうとしない沈黙が、関係を壊さず次の段階へ運んでしまうからなのでしょう。沈黙が場を守り、その守られた場のまま、物語の章が次の場面へと切り替わる———第5話のこの終盤クライマックスのシーンは、その鮮やかな瞬間を、さらっとコメディの顔で見せてくれた場面なのだと、そんなふうに感じました。


この名セリフ&名場面集で紹介しているセリフは、2020年に放映された『逃げ恥・ムズキュン特別編』を土台に、野木亜紀子さんの『逃げ恥シナリオブック』での記述を参考にしています。なぜTVドラマ『逃げ恥』のシーンを毎日投稿しているか、その理由については、この連投記事の初回として書いた(その1)の記事のコメントをお読みください。

ちなみに、4/10に投稿した(その60)の記事には、それまでに投稿した全記事のINDEXと、逃げ恥関連の投稿記事リンク集を載せました。未読記事がある方は是非そちらから参照を。

 

明日の記事では第6話のシーンをお届けします。
ではまた!(^^)/

 

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