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中学数学のテーマは「世界の拡張」

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中学数学のテーマは「世界の拡張」

中学数学のテーマは「世界の拡張」

2021/10/10

写真は、らくだメソッドの中2-35教材なんですが、文章での説明がほとんどなく、計算問題中心のらくだメソッドのなかで、このプリントは唯一計算問題が全くありません。

設問は、関数の定義について書かれた文章を読んで重要事項にふりがなを振るだけという非常に特異な構成となっています。

 

中学校の教科書には書かれていないようなやや難しい表現ではあるんですが、関数の本質に触れる説明がなされているこのプリントがあることで、「関数」という概念を理解することが中学の数学においていかに大事であるかを物語っているように感じています。

 

教室にやってきた塾生に、中学数学のテーマは「世界の拡張」だという話をしたことがあるんですが、以下はその話に若干の補足をして再構成したものです。

少し前まで、大人のらくだメソッドでの学習は小学校教材だけでも十分と考えていた時期もあったんですが、いまでは考えを改めました。


その理由は、中村教室を開いてすぐの頃に入塾した塾生たちの多くがいまではだいたい中学教材に進み、さらにそのうちの数人は高校教材まで進んでいるんですが、中学教材は小学校教材とは別の視点で重要なんだということを、その塾生たちの変化ぶりをみて気づかされたからです。


中学教材全体のテーマを簡潔にひとことで表現するなら「世界の拡張」だとおもうんです。

 

ハンガリーの科学哲学者マイケル・ポランニーは、「科学は観察の拡張であり、技術は制作の拡張であり、数学は理解の拡張である。」という言葉を『個人的知識』という本に書いています。

 

つまり、数学とは、世界の理(ことわり)を解するツールであると。


たとえば、小学校の算数では、0より大きい数字しか習わないんですが、中学1年の最初に0より小さい負(マイナス)の数を習います。

 

小学校の学習範囲では「0→+∞」だったのが、「0→—∞」までも扱うようになったわけで、単純計算して範囲が倍に広がったといってよいでしょう。


そして、正負の計算のつぎは文字式です。

 

小学校までは、0から9までの10種類の数字の組み合わせてできた数字のみ(小数や分数含む)を計算の対象としていました。

 

それを、aとかbとかxとかyとかのアルファベットや数字以外の文字も数字と同じように自由に四則演算ができるようになることや、文字の意味も、数字の一般化ということだけでなく、未知の数、変数、任意の定数など、さまざまな用途に拡張していきます。


この文字式は、そのあとで学習する一元一次方程式につながっていくわけですが、中学1年の数学で、演算として扱える道具が格段に広がるわけですし、数の拡張は、中3で新たに学習する平方根で、さらに無理数と有理数というように広がるわけです。


また、中学の数学は、中2で学習する一次関数が一番の山場で、分量としても内容としても中2数学は中1数学の約4倍ほどのボリュームがあって、数学でつまずく生徒はほとんどが中2なんです。

 

つまり、関数という概念は、中学3年間通しても最重要ポイントのひとつといってよく、関数をちゃんと理解するかどうかがその後の高校数学にも大きく影響してくるので。


たとえば、高校数学で学習する微分というのは、関数から変化率(導関数)を求める演算ですが、関数から導き出される概念ですから、関数がしっかりわかってないと、微分の意味を理解するのは難しいんですね。

 

もちろん、微分という演算自体はそれほど複雑でないので、公式さえ憶えれば問題は解けるんですが。


中2数学では、一元一次方程式から、二元一次の連立方程式に発展し、中1では求める解がひとつだけだったのが、2つと増えていきます。そして、二元一次方程式の次が一次関数で、そのあとに、図形の証明(合同)と続いていきます。


吉本隆明さんは『心的現象論序説』のなかで、人間が何事かを「了解する」はたらきを、「わからない状態」から「わかる状態」に至る間には必ず時間的な経過や差異があることから「時間化」と称し、また、「関係づける」はたらきを「空間化」と称し、「時間化」と「空間化」という2つの概念から生物一般や人間の心の働きを理解しようとされました。


よって、もし中学数学の学習をこの吉本さんの言葉になぞらえてみるとするなら、方程式とは未知の数を文字に置き換えてそれを求める演算ですから、「分からない状態」と「分かる状態」との間には、時間の経過があり、方程式とはまさに「時間化の演算」と言い換えてよいでしょう。


また、三角形や四角形や円という図形がそのまま平面空間を表現していることは言うまでもありませんが、それに対して、一次関数の一般式 y=ax+b は、二元一次方程式の変形であり、そのグラフは変数xとyとの間のつながりを座標軸という平面空間に表しているわけですから、関数のグラフは、「時間化の演算」を「平面空間に展開する」ものと言ってよいとおもいます。

 

つまり、数学という学問は、昔は「代数」と「幾何」の2つに分けられていたんですが、関数という概念は、代数分野にあって、幾何と代数をつなぐ橋渡しをするような役割を果たしていると言ってよいでしょう。


あと、らくだメソッド中学数学教材の特徴にも触れておきたいとおもいます。

 

らくだメソッドはもともと計算問題が中心であるため、学校で学習するすべての単元を網羅する構成になっていないのですが、中学教材も学習指導要領上のカリキュラムと若干内容や配置が異なっています。


たとえば、学習指導要領上では中1と中2に分散している代入や文字式の計算・・・つまり、多項式同士のたし算ひき算や、単項式と多項式のかけ算わり算は中2で学習するんですが、らくだメソッドではすべて中1で行うようにして、中1の数学教材は正負の計算と文字式だけに特化し、一次方程式や一次関数の基礎練習をみっちり中1教材で学習する形になっているんです。


また、らくだメソッドでは学習指導要領上で中1で学習している一元一次方程式を中2教材の冒頭に繰り入れているので、中2教材は、一元一次方程式→二元一次(連立)方程式→不等式→一次関数という順序で学習が進んでいくんですが、そうすることで単元同士の関連が意識しやすくなり、数学という教科の全体像や本質を把握しやすいシンプルな構成となっているのです。

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