寺子屋塾

観察力を鍛えるのに参考になる本はありますか?

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観察力を鍛えるのに参考になる本はありますか?

観察力を鍛えるのに参考になる本はありますか?

2022/06/24

昨日投稿したTVドラマ『相棒』の記事に、

観察力が大事という話を書きました。

 

それで、今日は金曜なので、

15:00〜21:00中村教室にいたんですが、

今日教室にやってきた塾生の一人から、

「昨日のblog記事を読んだんですが、

 観察力を鍛えるのに参考になる本はありますか?」

と問われ、次のように話しました。

 

A:最近、2021年9月に出版された

佐渡島庸平『観察力の鍛え方』という本を手にいれて

読んだんですが、良い内容でしたよ。

 

ただ、どんなにイイ本を読んでも、本を読むだけでは、

残念ながら観察力は育たないでしょう。

 

アタマでわかることと、それができることとは

別次元のことですから。

 

佐渡島さんは、2012年に独立されて

コルクというご自身の会社をつくられたんですが、

モトは講談社で編集の仕事をされていた方で、

『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』などのヒット作を

生み出したと言われている人です。

 

本を読むだけでは観察力は育ちませんが、

具体的にどうすればいいかのヒント満載でした。

 

たとえば、ディスクリプションというんですが、

この本にはフェルメールの「牛乳を注ぐ女」という絵を

言葉にしてみるというワークが書かれていて、

つぎのような具合です。

 

絵の真ん中にメイドの女性が立っていて、

台座のようなテーブルに置かれた

ずんぐりとした陶器に、

両腕を使って牛乳を丁寧に少しづつ注ぎ入れている。

 

テーブルにはエメラルドグリーンの

テーブルクロスがかけられていて、

さまざまなパンが載っている。

ちぎれたような小さなサイズもあれば、

バスケットの中に大きなサイズのパンもある。

また、銀製のポッドのようなものも置かれている。

 

牛乳を注ぐ女性は頭に白い頭巾を被っていて、

髪は頭巾の中に収められている。

また、上着は肘まで捲りあげた

黄色い分厚い作業着を着ていて、

下は赤茶色のスカートで

腰に青いエプロンを巻いている。

 

女性は、ややがっしりとした体つきをして、

肘から先の作業着から露出している腕には、

うっすらと筋肉の筋が浮き上がっている。

顔は牛乳を注ぐポットに向けられていて、

その表情から感情は読み取れない。

 

画面左側に描かれた窓からは日光が射し込んでいて、

女性の顔の右半分や上半身、

牛乳を注ぐポットと注がれる陶器、

テーブルの上を明るく照らしている。

女性のすぐ後ろには無地の白い壁があり、

所どろこに釘を刺した

後のような穴がポツポツあって

 

・・・という感じなんですが、

ポイントは

できるだけ自分の主観的な感情などは入れずに

客観的事実だけを記述しようと努めること。

 

結局、観察を妨げるものは何か?という問いが

自分の中にないと、

今までの経験や知識、世間的な常識といった

いわゆる「認知バイアス」にいとも簡単に支配され、

事実を捉えているつもりでいて、

その実色眼鏡をかけた状態で物事を見ていて、

しかも、そのこと自体に自分で

気付けていないということになってしまいます。

 

たとえば、喜びとか怒りとか、高揚感など

その時々の「感情や気分」という

不確かなモノを土台に物事を見ようとすると、

今度は観察そのものの質が変化してしまうので、

昨日食べたラーメンが

あまりに美味しくて感動したというような話は、

その感動した気持ちそのものを蕩々と述べても、

そうした自分の感情自体が非常に揺れ動きやすく、

結果的にバイアスがかかった状態で

自分の個別固有の体験を

語っているだけのことですから、

残念ながら観察力そのものが

変化、向上することはほとんどありません。

 

ラーメンを食べた自分の感動を語るのではなく、

その感動を切り離したところで、

ラーメンの何が美味しさを生み出しているのか、

麺のコシなのか、スープのだしなのか、

メンマやチャーシューなのか

微に入り細に入り、記述してみるとか、

同じ店に1週間通い続けて

同じメニューのものを食べ続けてみて、

自分の味覚の変化について分析してみるというなら

観察力が鍛えられるでしょうが。

 

つまり、事実をありのままに見るということは、

これほどまでに易しくない課題であって、

そうした習慣を日常生活次元に組みこんで

日々繰り返し鍛錬しているかどうかがカギなんですね。

 

いまわたしが具体的にやっていることを紹介すると

毎朝庭の写真を撮ってfacebookに投稿することを

もう10年以上やり続けているんですが、

できるだけ違う写真を投稿しようと心がければ、

そのことで観察力が育っていきますし、

また逆に、同じ場所から同じ角度で撮影するといった

定点観測を続けていくことでも、

毎朝の違いがどこにあるのかを発見でき面白いです。

 

毎朝散歩するときに往復30分の間に

見聞きしたことや感じたことについて、

140文字以内で表現してみるというのも、

2年間やり続けていているんですが、

これもディスクリプションの一種ですね。

 

ポイントは、目標を明確にすることではなく、

目的にとらわれず、

結果として自分に力がつくことを繰り返し、

淡々とし続けることにある・・・

 

これが寺子屋流のやり方で、

算数・数学のプリントもそういう視点で見ていくと、

発見の宝庫なんです。

 

佐渡島さんのこの本については、ネット上にも

紹介する記事がたくさんヒットしますし、たとえば、

次の記事には本書の第1章〜第2章の大事な部分が

そのまま引用して紹介されています。

 

いいクリエイターの条件である「観察力」とは何か?

編集者・佐渡島庸平が行きついた答え


この記事を#1として#4まで

『観察力の鍛え方』から紹介されているので、

それらを全部読まれれば、
本書のアウトラインは掴めるとおもいますので、

ぜひご覧になってみてください。

 

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