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デカルト『頭がよい人ほど誤りやすく真理を捉えられない』(今日の名言・その27)

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デカルト『頭がよい人ほど誤りやすく真理を捉えられない』(今日の名言・その28)

デカルト『頭がよい人ほど誤りやすく真理を捉えられない』(今日の名言・その28)

2022/07/25

 

 ある種の精神の持ち主は、

 他人が二十年もかかって考えたことすべてを、

 二つ三つのことばを聞くだけで、

 一日で分かると思い込む。

 

 しかも頭がよく

 機敏であればあるほど誤りやすく、

 真理をとらえる力も劣る。

 

ルネ・デカルト(1596〜1650・フランス生まれの哲学者、数学者)『方法序説』より

 

 

皆さんは、デカルトという名前を聞くと、

「われおもう、ゆえにわれあり」という言葉を

おもいだす方は少なくないでしょう。

 

今から500年以上も前の人物ですから、

近代哲学の父と呼ばれ、この言葉が収められている

『方法序説』という書物は

「そもそも〝考える〟とはどういうことか」という

基本的〝方法〟について述べているという点で、

哲学の古典として高く評価されています。

 

デカルトの基本的方法の骨子は「懐疑論」と呼ばれ、
ネット上にも沢山情報がありますので、

詳しく知りたい方は、こちらのページなどを

ご覧いただければとおもいますが、

その概要についてかいつまんで述べれば、

次のようなものと言ってよいでしょう。

 

疑いの余地のあるものを全部捨てていったら、

「疑っている『わたし』がいる」ということは

疑いようがないことにおもい至った。

つまり、『わたし』の本質は考えることのみである。

なぜ「疑っている『わたし』がいる」ということを

疑いようがないかというと、

考えるためには存在が必要だということを

常識的に判断してるからだ。

 

「方法序説」というタイトルだけを見ると、

何かとても難しい書物のようにおもえますが、

実はそうでもありません。

 

もちろん、2500年前にお釈迦さまが、

「疑っている『わたし』がいる」ということ自体に

問いが浮かんで、そもそも「わたしはいなかった」と

喝破したことと比べれば、思考としての解像度は

落ちるように感じてしまうんですが、

まあ、それはそれとして。

 

以前、『論語』について、

孔子を押しつけがましい人だとおもっていたけれど、

それは、孔子の門人たちの幾人や、

論語をあれこれ解釈してきた儒学者たちが

押しつけがましかったからで、

孔子自身は、けっしてそういう人ではなかったという

主旨の文章をこのblogで書きました。

 

同じように、デカルトについても、

後世にデカルトの本を読み解いた人たちの解説が

難解だったためで、

デカルトが書きたかった内容そのものとは

切り離して捉えなければいけないんだと

気づいたんです。

 

つまり、わたしはこれまでデカルトは、

人間の知性の素晴らしさのようなものを語った

大脳思考中心の人間なんじゃないかと

勝手に捉えていたんですが、

それはわたしの偏見であり全く違っていました。

 

デカルトという人のことを、

ただ分かったつもりになっていただけだったんです。

 

『方法序説』に書かれていることは、

むしろその逆、知性の不完全さ、危うさであり、

考えることは、知識の多さやスピードなどよりも、

「深さ」「確かさ」が大事であるんだと。

 

ある人が20年かかって考えたようなことなら、

たぶん20年ぐらいかけて考えてみないと

本当の意味での理解には届かないだろうし

そうした考えを丁寧に生きて確認してみることが

何よりも大事なんだと。

 

冒頭に挙げた言葉は『方法序説』の

第6章に出てくるんですが、デカルトは、

考えることよりも実際に自分で体験することや、

違う価値観の人たちと深い対話を

繰り返し行う姿勢を大切にしていて、

書斎に閉じこもって考えてばかりいるような

頭でっかちの人間をこっぴどく批判しているのです。

 

『方法序説』は文庫で137ページと薄い本なので、
ぜひ手に取って読んでみて下さい。

 

解説書のオススメは、

学びのきほんシリーズに収められた若松英輔さんの

『考える教室 大人のための哲学入門』です。

 

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