2022年のふりかえり「年間読書ベスト24」(その3)
2023/01/03
昨日の記事の続きです。
昨日書いた①〜⑥までの6冊については、
一応順位をつけたんですが、
どの本も優れモノで、ほとんど差は無いと
受け止めていただければ有難いです。
それで、今日は昨日の続きなので、
順当にいけば⑦〜⑫6冊の紹介となるのでしょうが、
今日はそれを外し、⑬から書き始めてみようかと。
⑬U.ルッツ編(大島かおり木田元共訳)『アーレント=ハイデガー往復書簡』
ハイデガーについては
5/2に書いたこちらの記事で名言を紹介しています。
ただ、著作を読んだことはなかったので、
昨年は、読書会つんどくらぶのお題本に
100分de名著テキスト『存在と時間』を選び
3回集まりをもったんですが、
それをきっかけに、ハイデガーの哲学に
つよい関心を寄せるようになりました。
そうしたなかで、
なぜ、『存在と時間』が哲学界を震撼させ、
以後の哲学の方向性に大きな影響を
与えるような1冊となり得たのかという
問いが浮かび上がってきたんですが、
その理由のひとつに
アーレントとの出会いとつながりがあったことは
ほぼ間違いがないようにおもいます。
もちろんそれはゴシップ的興味からではなく、
12/7に書いたこちらの記事でも触れた
「情報とは、一つのシステムと別のシステムの
落差から生まれるもの」という考え方や
吉本さんの「対幻想」という見方から
導き出されてきたことなんですが、
これ以上詳しくここには書けないので、
関心のある方は、
松岡正剛さんの千夜千冊
第916夜『存在と時間』などをお読みになって
考えてみて下さい。
⑭いがらしみきお『ぼのぼの人生相談 ひととくらべちゃだめなのさ』
主人公ぼのぼのくんやしまりすくん、
あらいぐまくんなどのキャラクターたちが、
読者から届いた人生相談に答える趣向の
漫画スピンオフ企画。
漫画作品「ぼのぼの」のディスコミュニケーション的
不条理ギャグや哲学的な笑いがベースにあるので、
答えているようで答えていない、
答えていないようで答えている感じが面白く、
テキストで書かれた「もうひとつのお答え」との
バランス感が絶妙。
こちらの記事などネットでも内容を
一部分読むことができます。
この本については、8/26に投稿したこちらの記事に
出会った経緯や概要、内容など詳しく書きました。
福澤諭吉については、
「学問の本趣意は、読書に非ず」という名言を
5/13に書いたこちらの記事で紹介しましたが、
この本との出会い直しがきっかけになって、
今年は『学問のススメ』を読み直したり、
『福翁自伝』を入手したりしてして
改めて関心をもつように。
その辺も9/25にこちらの記事に詳しく書いたので、
未読の方はぜひご覧ください。
⑯島宗理『インストラクショナルデザイン 教師のためのルールブック』
本書は、著者の研究テーマである
行動分析学によって得られた知見を
教育分野に活かした労作です。
学び手の行動変容を引き起こすような教育活動を
具体的に実践していこうとすれば、
インストラクションに対する明確なデザインが
必要だという著者の考え方は
わたしにとって全面的に共感できるもので、
教育に関わるすべての人に読んで欲しい1冊。
島宗さんの著書については、
10/6に書いたこちらの記事で「行動分析学」を
紹介したんですが、この本もそのうち
このblogで詳しく紹介したいと考えています。
⑰大友良英・稲葉俊郎『見えないものに、耳をすます 音楽と医療の対話』
2017年3月11日にNHKで放映された
Switch Interview 達人達の内容を膨らませて
書籍化したのが本書。
ノイズや即興音楽のミュージシャン大友さんと、
循環器がご専門で当時東大病院にお勤めだった
医師稲葉さんという異なる分野の出会いが
創造的な対話のモトであることが
よくわかります。
ちなみに、稲葉俊郎さんの著書については、
学びのきほんシリーズを7/12に書いたちらの記事で
ご紹介しました。こちらもオススメ本です。
⑱ブレイディみかこ『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』
ブレイディみかこさんについては、
10/3に書いたこちらの記事で名言をご紹介しました。
記事を書いたときにはまだこの本を
手に入れていなかったんですが、
本書のお陰でエンパシーという考え方をさらに
多面的に捉え、深められるように
なったように感じています。
※続きは明日の記事で