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福澤諭吉ってどんな人?

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福澤諭吉ってどんな人?

福澤諭吉ってどんな人?

2022/09/25

日曜は古典研究カテゴリーの記事を投稿しています。

 

これまでは主に論語や易経、仏典といった

2000年以上前の作品をとりあげてきたんですが、

そもそも「古典」という言葉の定義が一律ではなく、

どの時代までのものを「古典」とするかは、

結構バラツキがあるようで。

 

ちなみに、コトバンクのデジタル大辞泉

「古典」の解説は次のように書かれています。


こ‐てん【古典】
1 古い時代に書かれた書物。当代・現代からみて、古い時代に属する書物。「鷗外や漱石も若者にとっては古典なのである」
2 学問・芸術のある分野において、歴史的価値をもつとともに、後世の人の教養に資すると考えられるもの。多く、著述作品についていう。「国富論は経済学における古典である」
3 芸能の世界で、近代に興った流派に対し、古い伝統に根ざしたもの。「古典舞踊」
4 古くからの定め。古代の儀式や法式。

 

400年近く前に書かれたルネ・デカルトの哲学書、

『方法序説』などは、哲学の世界の中では

「古典」と呼んでも違和感がなかったので、

④古典研究カテゴリーに含めて記事を書きました。

デカルト『頭がよい人ほど誤りやすく真理を捉えられない』(今日の名言・その28)

 

ただ、芸術の世界でも、モーツアルトなどは、

クラシック音楽というジャンルがあるので、

「古典」でもいいかもしれないんですが、

クラシック音楽のなかには「現代音楽」なんて

ジャンルもあるので、④古典研究カテゴリーより

⑨文化・教育一般カテゴリーの方が

相応しいかもなんておもったりしていますし、

あまり厳密に規定せず、基本姿勢としては

その都度判断しながらやっていくつもりです。

 

 

さてそれで、前置きが長くなってしまいましたが、

今日取りあげるのは写真にあるとおり

福澤諭吉の書物です。

 

諭吉は幕末から明治にかけて活躍した人ですから、

「古典」と呼ぶことについて違和感がある人も

あるかもしれません。

 

それでも、前述したデジタル大辞泉の「古典」にある

「鷗外や漱石も若者にとっては古典」という文意から

諭吉の残した書物も古典に含めてよいのではと。

 

『学問のすゝめ』については、

このblogでも少し前に、今日の名言シリーズで

「学問の本主旨は読書に非ず」

という言葉をこちらの記事で紹介しています。

 

また、7月下旬にアメリカから帰ってきて

わが家に居候していた長男から問われたことを

きっかけに、8月下旬には次の記事も書きました。

福澤諭吉の『文明論之概略』を再読して

 

その長男も9月の初めには南青山にあるシェアハウス

住むことになり引っ越して行ったので、

今はわが家には居ないんですが、長男のお陰で

『文明論之概略』を再読したことをきっかけに

この9月はすっかり諭吉に嵌まってしまって、

『学問のすゝめ』や『福翁自伝』を引っ張り出して

読んでいるわたしです。

 

 

皆さんは「福澤諭吉ってどんな人?」って問われたら、

どのように答えますか?

 

・現行日本銀行券1万円札の肖像画の人

・緒方洪庵の適塾で学んだ

・幕末に咸臨丸でアメリカに渡った

・明治時代の初めに『学問のすゝめ』を書いた

・慶應義塾を創立した

 

ぐらいでしょうか。

 

わたしが『学問のすゝめ』を最初に読んだのは

進学塾で仕事をしていた30年以上前のことで、

結局、何が書いてあるのかを人にちゃんと

説明できないのはもちろん、

どんな内容だったのかもはっきり思いだせないぐらい

朧気なんですね。

 

大河ドラマや時代劇の好きな妻なら、

わたしよりも諭吉に対して、具体的なイメージが

あるかなとおもって聞いてみたんですが、

前記した5項目以上の言葉は

返ってこなかったんです。

 

それで、今回改めて諭吉の書いた書物を

読みなおしていて、お札の肖像画になってしまう程

有名な人というのは、却ってその人物像が

ぼやけてしまうというか、

ついつい、わかったつもりになってしまって、

それ以上のことを知ろうと

おもわなくなってしまうことに気づいたのでした。

 

デカルトの言葉をとり上げた記事にも

「自分はデカルトという人を全然解っていなかった」と

書いたんですが、

結局、諭吉についても大同小異だったんですね。

 

それで、今のわたしは諭吉について書こうとすると、

それこそ、とめどもなく出て来てしまうので、

今日は2点だけにとどめます。

 

 

1点目は、明治5年に初編が出た『学問のすゝめ』が

いかに時代の最先端をゆく

画期的書物だったかということです。

 

著作権は切れていて青空文庫で全文読めるんですが、

江戸幕府が倒れてまだ5年しか経っていなくて、

同じ明治5年には「学制」が敷かれ、

尋常小学校で使われた国語の教科書の書き出しが、

「サイタ、サイタ、サクラガサイタ」でした。

 

一般に、言文一致体を確立したとされる二葉亭四迷の

『浮雲』が世に出たのが明治20年ですから、

漢字混じりのひらがな文で書かれている

ということだけで、十分画期的なわけですが、

この話だけでなく、橋本治さんの『学問のすゝめ』には

どれだけ画期的な書物であったかが

事細かに書かれてますのでぜひ読んでみて下さい。

 

 

2点目は、諭吉というと「実学の人」なんですが、

諭吉という「実学」とは必ずしも

実利に結びつくとか、実用的という意味ばかりを

言っているわけではないというところ。

 

『学問のすゝめ』という本は、そのタイトルからして、

「勉強しなさい」「賢くなりなさい」と言う主旨は

解るとおもうんですが、でも、それは、そうすれば

「お金持ちになれるよ」「成功できるよ」

「あわよくばお上の側に回れるよ」ってことを

言いたいわけではないんですね。

 

諭吉にとってまず重要なことは、

「一人ひとりの自立」であって、

普通の人たちが政治とか世の中に関心を持ち、

きちんと学んでそれを理解する力が持たなかったら、

政府が間違ったことをしてもわかることができない。

 

だから、みんなが学んで理解できるようにならないと、

いい世の中にならないよ。そうしなければ、

明治の新しい世の中が来たって何の意味もないよ、と。

 

そのためにはまず「勉強する」しかないし、

そのための『学問のすゝめ』であり「実学」なんです。

 

諭吉が言いたかった実学の意味を知ったときは、

本当に衝撃でした。

 

『学問のすゝめ』がこんにちを生きるわたしにも

響く内容であるということは、残念ながら、

いまの日本は、

諭吉が『学問のすゝめ』を書いた頃から、

それほど変わってはいないんだということでも

あるってことなんですが。。。

 

『福翁自伝』の適塾のことを書いた箇所に

ナント「目的なしの勉強」という小見出しがあり、

目的なく学んだことが却って幸せだった、

そのお陰で勉強ができたって書いてあるんです。

 

「目的なく学ぶ」って、

まるで寺子屋塾みたいですよね。笑

 

このことにも驚いたんですが、

そこから引用した部分にコメントして

この記事を締めくくることにしようとおもいます。

 

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目的なしの勉強
兎に角に当時緒方の書生は、十中の七、八、目的なしに苦学した者であるがその目的のなかったのが却って仕合で、江戸の書生よりも能く勉強が出来たのであろう。
ソレカラ考えてみると、今日の書生にしても余り学問を勉強すると同時に始終我身の行く先ばかり考えているようでは、修業は出来なかろうと思う。
始終今もいう通り自分の身の行く末のみ考えて、如何したらば立身が出来るだろうか、如何したらば金が手に這入るだろうか、立派な家に住むことが出来るだろうか、如何すれば旨い物を食い好い着物を着られるだろうか、というようなことにばかり心を引かれて、齷齪(あくせく)勉強するということでは、決して真の勉強は出来ないだろうと思う。就学勉強中はおのずから静かにして居らなければならぬ、という理屈がここに出て釆ようと思う。
(引用ここまで)

『福翁自伝』緒方の塾風 より

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ちなみに、寺子屋塾の教室では、他の塾生が

プリントをやっていたり本を読んでたりするときに

静かにして居らなければならぬというルールは

ないんですが。笑

もちろん、騒いでイイということではありません!

 

諭吉の言いたいコトはおそらく、
学ぶこと自体が楽しいことを知り、

学ぶことの喜びを見出せるってことが、

何よりも大切だ!ってことですね。

 

少し前に、今日の一言シリーズで、

内田樹さんの言葉をとりあげた記事を書きましたが、

学ぶことには目標を明確にすることより

大切なことがあるって、今から150年も前に

すでに福澤諭吉が書いてるってことが

とにかくわたしには大きな驚きでした。

 

寺子屋塾もそういう学びの場でありたいと

願っています。

 

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