寺子屋塾

改めて「書くこと」と「教えない教育」との関係について(その7)

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改めて「書くこと」と「教えない教育」との関係について(その7)

改めて「書くこと」と「教えない教育」との関係について(その7)

2023/06/12

6/6からこのblogでは

改めて「書くこと」と

「教えない教育」との関係について

というテーマで記事を書いていて、

今日が7回めとなります。

 

(その1) (その2) (その3)では、

らくだメソッドの開発者・平井雷太さんが

教室に通う生徒の保護者や塾外に向けた

紙媒体の通信を、

まわりの人とやりとりの中で発行し続けた話題で、

「考現学」という概念に出会うまでのプロセスを

著書『〜しなさいと言わない教育』から

紹介しました。

 

ちなみに、記事の冒頭に掲げた画像は、

90年代後半、平井さんのそうしたネットワークで

日常的に考現学をやりとりしていた人々に

「あなたにとって考現学とはなんですか?」

という問いを投げかけ、

返ってきた言葉、文などを一覧化したものです。

 

(その4)では、最初に「考現学」を提唱された

今和次郎という人物について書き、

(その5)ではわたしがそうした考現学の

やりとりの様子を素材として、

寺子屋塾の教室通信のために書いた文章を

「考現学」の実例としてご紹介しました。

 

これまでの記事は、ひとつらなりの内容として、

関連を意識しながら書いてきたもので、

未読記事があると、以下の記事を読まれても

今日の記事の主旨が

見えにくいかもしれません。<(_ _)>

 

 

今日は、わたしが寺子屋塾を創業して間もない頃、

「考現学」を日常的に書いて、

在籍していた塾生の有志とやり取りしていたので、

その塾生たちが、当時どんな文章を書いていたかを

考現学の具体例として

ご紹介することにしました。

 

引用するのは、当時は

高校3年生だったMさんの考現学です。

 

わたしはMさんに対し、その時々であまり考えずに

自分のおもいつくままに文章を

書けばいいとは伝えましたが、

「考現学」とはどういうものなのかということや、

どうやって書けばイイかなど、

書き方や方法については、一切教えていません。

 

 

(引用ここから)

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●今日、学校から帰ってくるとき、

すごく空がきれいだった。

きれいな空を見ると、いつも下の方からジワーっと

何かが頭の上まで上がってきて、

生きてて幸せな気分になる。

ひとりでずっと見とれていて、何か

人生に幸せを感じるときみたいで、すごくいい!

天使が降りて来ちゃうのかなと思ってしまう。

 

学校でつまらない授業を受けているとき、

隣にすわっている友だちに

「もう学校に来たくない」という

相談を受けて困りました。

手紙を交換しながらやりとりしていると、

自分も同じだと気づいてさらに困った。

それで、どうやって解決させるか考えた。

「友だちとは一歩おいてつきあっている」と

友だちは言った。

「自分を話せる友がいないから、

 今の自分が分からない」という。

その通りだと思った。

 

人に裏切られた人は、愛することをおそれて、

もう人を信じたり、愛したりできなくなり、

結局、愛したい人を愛することや

信じられなくなってしまう。

 

だから、ほんとうにこの考現学は、

自分が正直に今日思ったことを書くことで、

自分が何を思っていたか、何となく分かって、

今も実際、書いているうち、ホッとしてきた。

不安を書こうと思っていたのに・・・

わたしにはこういう自分を少しでも

知ることができたのでよかった。(1995.9.21)


●最近わたしはとてもイライラしています。

これは友だちにも相談していますが、

話してもイライラはたまるばかりで、

学校に行っても、遊びに行っても、

部屋のなかでじっとしていても、

何かが胸のなかでうごめいています。

 

このままでいいのか。

今の生き方で満足しているのか。

平凡でさしつかえない、

今日で幸せと思うべきかを考える。

いつか、大きくなって毎日の幸せを

つかむと思っていた。

今はたくわえる時間だとおもっていたのに、

今幸せじゃなくて一体いつ幸せになるんだと思う。

 

こんなに何不自由なしに暮らし、

やりたい事をできて、言いたいことを言って、

お金ももっていて、友だちもいて。

なのに今、わたしは生きているということを

素晴らしいと思っているのかわからない。

 

わたしの持っている物は、みんな本物なのか。

本当は言いたいことを言っているのでなく、

言える範囲のことを口先で言ってはいないか。

今日が、毎日があたりまえだと思って、

やらなくてはいけない事だけを、

毎日ロボットのように繰り返していると、

とてもつまらない日をくり返している自分に気づいた。

 

今、どうしていいか分からず、

ハッキリ言ってパニックを起こしている。

クラスが気に入らない、先生が気に入らない、

周りが変わらないから自分も変われないのなら、

流されていると同じだな。そう思った。

 

自分が変わるから周りも変わって、

人生も変わるんだと思った。

これは今、たった今、

わたしの人生におけるスーパー大発見だ!! 

 

すこしずつ見てみよう。

わたしの1回しか通れない人生(路)は、

自分が、どうやって通るかは自由。

水たまりがあったら飛び越えて遊べたり、

のぞき込んで空をみることだって・・・

大切な高校人生。

もっと私らしく通り抜けたい。(1995.9.28)

 

 

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(その2)

(その3)

(その4)

(その5)

(その6)

 

 

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