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寺子屋塾生のらくだメソッドふりかえり文を紹介(その10)

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寺子屋塾生のらくだメソッドふりかえり文を紹介(その10)

寺子屋塾生のらくだメソッドふりかえり文を紹介(その10)

2023/08/29

8/20からこのblogでは、

寺子屋塾生のひとり、本田信英さんが

入塾時から3年余りの間、3ヶ月毎に書いていた

らくだメソッド学習のふりかえり文を紹介しながら、

わたしのコメントを記しているんですが、

今日で10回目となりました。

 

今回なぜこのような記事を投稿しようとしたかなど、

そのきっかけなどの前口上については、

8/19に投稿した(その0)をご覧ください。

 

この連載記事は1回1回を

完結するスタイルで書いていますので、

前の記事を読んでいないと

以下に記す本日分の内容が

理解できないということはありません。

 

ただ、こうして連載記事として投稿している

目的の一つを書いておくと、

本田さんが寺子屋塾で学習を始めて以後

具体的にどう変化してきたのか、そのプロセスを

この寺子屋塾のblog内でも

辿れるようにしたかったことにあります。

 

(その1)では3ヶ月めと6ヶ月めを、

(その2)では9ヶ月めと1年めを、

(その3)では1年3ヶ月めと1年半を、
(その4)では1年9ヶ月めを、

(その5)では2年めを、

(その6)では2年3ヶ月めを、
(その7)では2年6ヶ月めを、

(その8)では2年9ヶ月めを、
(その9)では3年めのふりかえり文を、

紹介していますので、

時間の許す方は最初から順番にどうぞ!

 

また、本田さんは、

学習を始めて2年3ヶ月経った2018年2月に

これらのふりかえり文をblogで公開されたんですが

なぜ大人の自分が算数、数学のプリントで

学習を続けているのかなど、

そのタイミングで本田さん自身によって書かれた

前口上の記事が2本あり、以下記す内容の

前提条件や背景を知ることができますので、

未読の方はそちらからご覧ください。

大人になって算数のプリントを始めた

変化のプロセスを見ていく記録
 

それで、本田さんの3年3ヶ月のふりかえり文を

ご紹介する前に、

昨日投稿した3年のふりかえり文に記した

わたしのコメントに、書き漏らしたことがあり、

まずはその補足から。

 

本田さんの3年めのふりかえり文には、

「やりたいこと」に固執しても仕方ないという

タイトルがつけられていました。

 

本田さんには、寺子屋塾に入塾された当初に、

高校数学をちゃんと学び直したいという

想いがあり、

「初志貫徹」という四字熟語があるように、

何かを始めるときには、

それを始めた時の動機づけというものは、

大きな意味を持つことがすくなくありません。

 

たとえば、寺子屋塾で提供している

未来デザイン考程というプログラムでは、

テーマ設定をしたあと

最初に取り組む「理念設定」のステップがあります。

 

つまり、そもそも何のためにやろうとしているのか、

最終的にたどり着きたいところはどこか、

究極の目的というか、進むべき

方向軸を確認することから始めるんですが、

これが案外はっきりしていないんですね。

 

わたしがこの寺子屋塾を始めたときにも、

けっして明確な理念があったわけではなく、

理念らしきものが明確になったのは、

7年ぐらい経ってからのことでした。

 

以前、次のような記事を書いたことがありました。

「プリントなんかやりたくない」って言ってごらん?

 

記事の冒頭にあるように、

このような算数・数学のプリントなんて、

多くの人にとっては、あまり積極的にやりたいと

おもえない内容ですよね?

 

それでほとんどの皆さんが、

途中で「できない体験」に遭遇するわけですが、

そうしたときに、本田さんのように

「高校数学をちゃんと学び直したい」という

立ち返ることのできる最初の想いが

明確にある人というのは、

かなりレアな珍しいケースと言ってよいでしょう。

 

「自分で決めて、自分で学習する」

セルフラーニングスタイルのらくだメソッドですから

わたしは教室で塾生に

「プリントをやりなさい!」と言ったことは

一度もないんですが、

それでも30余名の塾生たちが

半年間に学習したプリントをすべて積み上げると、

こんなふうに6000枚ほどになるので

これってスゴイ量ですよね?

 

もう何度もこのblogでは

繰り返し書いている話ですが、わたし自身、

29年前に寺子屋塾を始めた頃、

塾生は小中学生の子どもたちばかりで、

現在のように大人の塾生が8割以上になるなどとは

まったく想像だにしませんでした。

 

つまり、こんなふうに、

だれもがあまり積極的にやりたいとおもえる

内容のプリントではなくても、

小中学生時代に苦手だった算数・数学を

学び直したいと考えている人の、

潜在的ニーズというものは、

現実にはかなりあるんじゃないかという

感触があることを伝えたかったんですが。

 

 

「やりたいこと、好きなことをやりなさい」

という言葉が昨今よく聞かれるようになりました。

 

でも、学生時代には音楽家志望であったのに、

まったく異なる道で仕事をしてきたわたし自身、

いまでは「やりたいこと、好きなこと」を

仕事にしなくて心底ヨカッタと感じていて、

そうした経験からも、

今ではその考え方自体に疑問があります。

 

たいていの場合、その

「やりたいこと、好きなこと」というものが、

その人の過去の体験、経験に基づいて

形成されているわけですし、

自分の本心から湧き起こってきているのか、

外側からの承認欲求を端に発したものかが

はなはだ曖昧なことも少なくないようで、

結局、どんなことについても

やりたいことなのか、好きなことなのかは、

「やってみなければわからない」とおもうのです。

 

アタマの中でイメージされていたことと

目の前にあるリアルな現実の世界との間に

ギャップが生じることはむしろ当然で、

そうした言説ばかりに

振り回されない姿勢もまた大事なのではと。

 

本田さんが書かれていたように、

「やりたいこと、好きなこと」というのは、

きっかけ、目印、入口にすぎず、

その人の新たな可能性が開かれる何かというのは、

「やりたいこと、好きなこと」よりも

むしろ、その外側にあるんじゃないでしょうか。

 

 

さて、3年のふりかえり文へのコメント補足は

これくらいにして、

今日ご紹介するのは、2019年2月、

本田さんが入塾後3年3ヶ月経った時点で

書かれたふりかえり文です。

 

(引用ここから)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やればできるようになる実感」をはぐくむ

 

「らくだメソッド」という、算数プリントを

やっています。

1日1枚のプリントをやるという

簡単なようで難しいものに取り組み、

その中で感じたこと、考えたことを

3ヶ月ごとに振り返る試みをしています。
これはその3年3ヶ月の振り返りです。

過去のものは以下より。

らくだメソッド|本田|note自学自習のための教材「らくだメソッド」を大人になってから始めました。2015年11月から3ヶ月ごとの振り返りの文章を書いてnote.mu

今回で1度この振り返りは区切りとしようと思う。

 

最初に書くことではないかもしれない。

ただ、そう思ってしまったのだから、

正直に打ち明ける。

 

3年目の振り返りを書いた時点で、

既に停滞感があったが、

そこからの変化はほとんどない。

なぜなら、プリントをやっていないからだ。

 

「やりたいのにやれない」のでもなく、
「やらないと決めた」のでもなく、
「やっていない」だけ。

 

寺子屋塾に行った時だけプリントをやり、

それ以外はやらない。

そんな惰性の日々が続いている。

 

その事実から知れることはある。

ただ、もう優先順位が下がってしまった。

 

右肩上がりの円の弧の頂上部分まできてしまった。

ここから先はもはや微細な変化だ。

だから、なにか大きな変化があったら

また書くことにした。

それまでは一旦おしまいだ。

 

面白いのは、僕がやめようと思ったタイミングで、

これかららくだメソッドの振り返りを

始める寺子屋塾生が増えたことだ。

示し合わせたことではないけれど、

バトンタッチをしたような気分になっている。

 

さて、この先は締めとして、総括を書いておこう。

ここまでの3年3ヶ月で、

僕がらくだメソッドを通して、得た大切なことは

やればできるようになる実感」だ。

 

これを読んでいるあなたは、

自分の算数・数学力が

どれくらいだと思っているだろうか?

 

僕は中学生レベルくらいはあると思っていた。

しかし、小学校低学年の問題が1度で

クリアできなかった。
体験したことのない人は、これが

失笑するような出来事だと思うかもしれないが、

らくだメソッドをやった9割以上の人が

同じ経験をする。

 

とはいえ、衝撃的な事実ではあった。

それからしばらくは、

ひたすらに「できない」と向き合い続けてきた。

 

ただ、躓きはしても、やがてできるようになる。
ずっと一か所でとどまり続けたことはないから、

僕はいま高校2年生の単元まで進めているのだ。

 

どんなに途方もなく思えるような

壁にぶち当たっても、気づけばそれを越えてきた。

だから、実際にやるかやらないかはさておき、

大抵のことはやればできるだろう」と

思えるようになった。

 

この転換はとてつもなく大きい。

 

物事に出会った瞬間に、

「無理かも」と「できそうだな」と

どちらを思うかによって、

行動は大きく変わってくる。

無理と思っているなら

行動は起こさないほうがいい。

でも、できそうだと感じたら、行動を起こすだろう。

 

自分の中には、確かに「できるようになりたい」

という素朴で、力強い脈動があった。

だからこそ、「できないこと」も

意識されていたのだ。

 

「できない」を何度も乗り越えていくことで

恐怖は薄れ、正面から向き合えるようになり、

いつしか自分から寄っていくようになった。

ふと足元を見下ろせば、

やればできるようになる実感」は転がっていた。

 

僕の尊敬する人は、それを

「根拠のない自信」と言う。
ただ、「信じている」という

あやふやな感覚ではなくて、

もっと臨場感のあるものとして「実感」とした方が

僕にはしっくりきた。

だれかに担保してもらうものではなく、

自分の体験に根ざしているのだ。

 

子どもの相手をしていると、

彼ら彼女らはその実感を持っている。

 

なぜかといえば、子どもたちがやればできるような

体験の真っ只中にいるからだ。

ハイハイをして、立ち上がり、歩き、走り、

言葉を獲得した。

初めはできなかったことが、積み重ねによって、

やればできるようになると感じている。

 

だから、危ないことにも手も足も出す。

僕も昔はそうだったはずで、いつしか失っていた。
ただ、取り戻すことはできた。

それがらくだメソッドを続けてきた

最大の収穫である。

 

他にも細かいことは書き出せばキリがないけれど、

これだけのことが伝われば僕の3年3ヶ月は

だいたいわかったようなものだ。

大事なことは少ししかない。

それ以外のほとんどは瑣末なノイズだ。

 

あとがき

この振り返りは、ほかの誰でもない、

自分がいつか読み返すためのものでした。
いつ頃からか、周囲の人に読まれるようになり、

初めて会う人からも「読みました」と言われた日は、

びっくりしたものです。
みなさんから感想や問いをいただくことで、

僕自身が更に1歩深く進むことができました。

ありがとうございます。

またなにか書いた日にはどうぞよろしくm(_ _)m

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(引用ここまで)

 

本田さんが自身でこの3年3ヶ月間を

明確に言語化し、

「やればできるようになる実感」という言葉で、

総括されていましたし、

内容的にもわかりやすい文章で、

わたしからの説明が必要な箇所も

特別なかった様におもいますがいかがでしょうか。

 

 

わたしが教室で塾生たちに

よく話している言葉があります。

 

「もし、このらくだメソッドの学習が

自然体でやれるように身についたら、

別の何かを学ぼう!とおもったときにでも、

大抵のことは実現できるように

なってしまっていますよ!」

 

本田さんも書いているとおり、

らくだメソッドで学んでいると、

「毎日できない」「なかなか合格できない」など、

できないことばかりに突き当たるんですが、

そもそも、何かを学ぶときに、

すぐにできるようになるなんてあり得ず、

「できない状態」がデフォルトであって、

けっして「できる=善、できない=悪」ではないと

心底腑に落ちたなら、

どんなことからも学べるようになるし、

本当に鬼に金棒じゃないかと。

 

言い換えると、らくだメソッドとは、

そもそも、何かを学ぶってことは

こういうことなんだと

実感、体感できるプログラムなんです。

 

 

なお、本田さんのnoteにアップされている
元記事は次のアドレスからどうぞ!

「やればできるようになる実感」をはぐくむ

 

明日は、1枚1枚のプリントを終えて書かれた

ふりかえり文からのピックアップと、

これまでの総括記事を投稿して

この連載記事を締めくくる予定です。

 

【関連する参考記事リンク集】
自分の天職について(旧ブログ「往来物手習い」より)
夢を持つこと、叶えることよりも大切なこと(旧ブログ「往来物手習い」より)
基礎と基本の違い(旧ブログ「往来物手習い」より)

自由に3つの意味あり(つぶやき考現学 No.43)

千葉雅也『勉強とは喪失することです』(今日の名言・その46)

川上不白「守ハマモル、破ハヤブル、離ハはなると申し候」(今日の名言・その58)

書経・商書「生きる方向軸が一つに定まっていれば吉」(「今日の名言・その7」)

自分の器を拡げるためにできること(その6)

何も目指さない世界に安心していられること(つぶやき考現学 No.37)

イニシエーション(通過儀礼)としてのらくだメソッド



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