ＮＰＯとは超営利組織のこと（つぶやき考現学 No.106）

2024/03/14

ＮＰＯは「非営利組織」と訳すけれども
ボランティア団体のことではない。

なぜなら、「非営利組織」とは、
得た利益を出資者に分配せず
次の活動に再投資する組織のことで、
出資しても見返りを期待しない
いわば「無配当」の株式会社のようなものだから。

でも、ＮＰＯを「非営利組織」と訳したために、
ＮＰＯとは何であるかが
とてもわかりにくくなってしまった。

利益を出資者に〝分配する〟のが
企業のような「営利組織」であって、
利益を出資者に〝分配しない〟のが
「非営利組織」だという説明は、
日本人の肌感覚になかなか馴染まないようで、
「非営利組織」と聞いただけでは、

出資者の存在や
利益を得る活動を否定していないことにまで
思いが及ばない人がほとんどだろう。

だから、企業のように

利益の拡大を目指すのでなく、

利益を得ることを否定もせず、
最適利益を模索しながら活動している
「超営利組織」と訳せばよかった。（1998.7.13）

※井上淳之典のつぶやき考現学 No.106

※冒頭の画像はこちらのサイトから拝借しました

COMMENT：ほぼ四半期前という昔に書いた詞で、

随分前のものではあるんですが、

NPOに関わっている方には、

「わかりやすい」と好評を頂いたものです。

ただ、それでも、NPOそのものを知らない方や

NPOの存在とあまり関わりのない人にまで

この詞の主旨がちゃんと届いているかどうかは

わからないなぁと内心おもっていました。

それで、この詞を

中村教室にやってきている塾生の何人かに

読んでもらって

「この詞で何が言いたいかわかりますか？」と確認し

忌憚のない感想や意見をもらったところ、

「最初の出だしが唐突すぎる」とか、

「出資とか分配とかのしくみがいまひとつ」とか

いろんな意見が返ってきたんですね。

そして、そういう対話を交わしているなかで、

「非営利組織という言葉自体が

日本人の肌感覚に馴染まない」

って言葉がふとわたしの脳裏にひらめいたのです。

それで、その言葉をコアに持ってくる形で

再構築しリライトしたものが今日の記事で

赤色の字で示したメインコンテンツの詞でした。

こんな風に他者からいろいろな意見をもらって

やりとりしながら文章を書くことを

「赤入れ」って言っているんですが、

リライトする前の詞も

参考までに載せておきますので、

具体的にどのように変化したかをご覧下さい。

また、こうした詞や文章への「赤入れ」や、

まわりの人とやりとりしながら、

文章をつくっていくやり方について

具体的に知りたいという方は、

【参考関連記事】にピックアップした

過去記事を読んで頂ければ幸いです。

◆リライト前の詞
ＮＰＯを「非営利組織」と訳したために
ＮＰＯとは何であるかが
わからなくなってしまった。
　
利益を出資者に分配するのが営利であるから
利益を出資者に「分配しない」が非営利。
　
非営利組織とは、得た利益は分配せず
次の活動に再投資するので、
出資しても見返りを期待しない
いわば「無配当」の株式会社ともいえる。
　
ＮＰＯは
営利を目的にしていないといっても、
利益を得ようとする活動自体を
否定しているわけではないし、
ボランティア団体とも異なるのだから、
最大利益を目指すのでなく、
最適利益を模索しながら活動している
「超営利組織」と訳せばよかった。（1998.7.13）