TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その43)
2026/03/24
2/10からこのブログでは、
TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集を
お届けしているんですが、
この記事で43回目になりました。
敢えてストーリーがはっきりわからないように、
1話につき1シーンずつ順番に引用して
ランダムに紹介し、
わたしなりのコメントを記しています。
『逃げ恥』は最終回の視聴率が20%を超え、
ギャラクシー賞やドラマ・アカデミー賞など、
2016年度に日本国内で放映された
TVドラマに与えられる
名だたる数々の賞を総なめにしました。
また、主題歌による恋ダンスの大ブレイクなど
〝社会現象〟と言われるほど、
大ヒットした名作ドラマではありますが、
観たことがない方も、
今はアマプラなどで手軽に視聴できますから、
この記事にアクセスされたことを契機に
是非ご覧になってみて下さい。
3/15から四巡目に入っているんですが、
今日は第10話の中盤、34分を過ぎたあたりで
風見が百合を自分のマンションに誘ったシーンの
ふたりのやりとりを。
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〔風見のマンションにて〕
百合:……聞きたいことがあって来たの。
風見:……?
百合:この前の、どういう意味?わたしが言ったこと、何か変だった?
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〔第9話のシーンがフラッシュバック〕
百合:たとえば、わたしみたいなアラフィフの独身女だって、社会に必要で、誰かに勇気を与えることができる。あの人が頑張ってるなら、自分ももう少しやれるって。
風見:……
百合:いま一人でいる子や、一人で生きるのが怖いっていう若い女の子たちに、ほらあの人がいるじゃない、結構楽しそうよって思えたら、少しは安心できるでしょう?
風見:…
百合:だからわたしは、カッコよく生きなきゃって思うのよ。
風見:……
百合:ん?
風見:そんなこと、言わないでください。
百合:……〔ぽろりと泣く〕
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百合の声:あなた言ったでしょう?そんなこと言わないでって。どうして?
風見:……。
百合:わたしが痛々しく見えたから?アラフィフの淋しい独身女が、強がって格好つけて、痛いこと言ってるって。
風見:ぼくは、〔慎重に言葉を選びながら〕カッコイイ百合さんが好きですが……
百合:!
風見:それは、百合さんからにじみ出るカッコ良さであって、誰かのお手本になるために無理をする必要は、ない!
百合:……。
風見:そう思っただけです。
百合:無理してるわけじゃないの。この前は仕事でいろいろあって…。
風見:……。
百合:まわりの期待は嬉しいし、まわりから期待されてるから、がんばれるっていうことも本当だし、カッコ良く生きたいっていうのも、本心。
風見:……はい。
百合:でも、そうね~。ときには、いいのかもしれない。頑張らないときがあっても。




















※TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』第10話より
COMMENT:このシーンでの風見と百合のやりとりは、まさに対話になっているだけでなく、とっても深いところを突いているように感じて唸ってしまいました。インサートされている第9話の回想シーンで、百合は風見の「そんなこと、言わないでください。」という言葉の真意をはかりかねたのか、戸惑いの涙をこぼしています。(その28)の記事で紹介したシーンで風見は、「自分の気持ちがよくわからない」と言ったり、「ぼくは何を求めているのでしょう?」と百合に聞いたりしていましたから、もしかすると、「そんなこと、言わないでください。」と言ったときも、明確な理由があったわけではなく、おもわず口に出てしまった言葉なのかもしれません。
百合から「アラフィフの淋しい独身女が、強がって格好つけて痛いこと言ってるって意味なの?」と問われ、「ぼくはカッコイイ百合さんが好きですが……それは、百合さんからにじみ出るカッコ良さであって、誰かのお手本になるために無理をする必要は、ない!」とキッパリ言う風見。このあたりの二人のやりとりが、対話的・・・つまり、あらかじめ準備された言葉、アタマで考えながら語っているのではなく、相手から問われることによって、その場で言葉が生まれている感じがしたんですね。でも、だからと言って内容が支離滅裂ではなく論理的にも筋が通っているので、風見自身の生き方の哲学が感じとれるし、しかもそれを一方的に押しつけているわけでもないので。
最近では、承認欲求という言葉もよく知られるようになりましたが、「まわりから期待されているからがんばれる」「社会から必要とされているから誰かに勇気を与えることができる」という百合の姿勢は、自分以外の外側に行動の起点が置かれているために、外的刺激や環境に依存しがちで、外的条件が変化することによって、行動の継続性や一貫性が保てなくなってしまうことが起こり得るわけで、そうした百合の生き方を受け入れつつ、わたしは違うよと風見は百合に問いかけているわけです。
この話は、昨日(その42)の記事でコメントした、行動の〝起点〟をどこに置いているかが大事という話にも繋がっていますね。さらに言うと、「百合さんからにじみ出るカッコ良さが好き」と言う風見の言葉は、寺子屋塾で実践している〝内発的動機づけ〟を大切にする学習指導とも関わってくるんですが、このコメントもだいぶ長くなってきていて、これ以上書くとさすがにこじつけっぽくなってしまうので、今日のシーンへのコメントはここまでにしておきましょう。
「井上さんはなぜTVドラマ『逃げ恥』のシーンを毎日投稿しているんですか?」と聞いて下さる方があるんですが、その理由については(その1)の記事に記したコメントをお読みください。そもそもの発端となったのは、わたしがドラマ『逃げ恥』を見始めたタイミングと、NHK-Eテレの番組「100分de名著」で吉本隆明さんの『共同幻想論』を採り上げたタイミングが重なって、『逃げ恥』名セリフ&名場面集を2020年夏頃からFacebookに毎日投稿し始めたことでした。
『共同幻想論』は戦後日本で最も難解とされている書物ですが、ドラマ『逃げ恥』を繰り返し観ているうちに、吉本さんの言われる3つの幻想領域(「個人幻想」「対幻想」「共同幻想」)の特徴とつながりがスッと理解できるようになったばかりか、ガッキーと源さんはもしかすると結婚するんじゃないかという予感が2020年秋頃からわたしの中に芽生え始め、皆さんご存知のとおり2021年5月にはそれが現実になったということがあったからです。これについては7回に分けて詳しく書いたので、未読の方は以下の7記事をどうぞ。
ガッキーと源さんの結婚を予感していたわけ(その1)
ガッキーと源さんの結婚を予感していたわけ(その2)
ガッキーと源さんの結婚を予感していたわけ(その3)
ガッキーと源さんの結婚を予感していたわけ(その4)
また、吉本さんの3つの幻想領域についてはタグ吉本隆明を付した記事にいろいろ書いていますが、100記事以上あってそれらをすべて読み解こうとするのはかなり骨が折れるでしょうから、ドラマ逃げ恥のセリフを使いながら「個人幻想」「対幻想」「共同幻想」の違いを説明している次の記事が分かりやすいかもしれません。
・3つの幻想領域の〝次元が違う〟ってどういうことですか?

この名セリフ&名場面集で紹介しているセリフは、2020年に放映された『逃げ恥・ムズキュン特別編』を土台に、野木亜紀子さんの『逃げ恥シナリオブック』を参考にしています。また、さらに詳しく知りたいという物好きなお方(笑)は、次の記事をはじめとしてタグ「逃げ恥」を付している過去記事等(とくに2021~2022年に投稿)を適宜アクセスください。
・ドラマ逃げ恥「平匡さんの自由意志です。どうしますか?」(「今日の名言・その13」)
・TVドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」原作マンガ(全11巻)のこと
この続きはまた明日に(^^)/


