TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その76)
2026/04/26
2/10からこのブログでは、
TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集を
お届けしているんですが、
1話につき1シーンずつ
順番に追いかける形で紹介していて、
この記事で76回めとなりました。
4/17の投稿記事から七巡目が始まっていて、
今日は第10話序盤のタイトルバックよりも前、
2分過ぎに置かれた
平匡のモノローグのみのイメージシーンを。
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〔平匡のマンションにて〕
〔みくりと平匡が蕎麦を食べている〕
平匡M:(朝まで何をすれば…
朝まで数独…
朝までWii…
朝までロボホン…
どれも楽しそうではあるが…
今はそういう事じゃない…)















COMMENT:第9話の終盤で平匡が「朝まで一緒にいますか」とは言ったものの、第10話の冒頭、脳内で始まるこのモノローグ。短いけれどドラマのここまでの積み重ね(第1話〜)が一気に噴き出す感じがして、かなり好きな場面です。
面白いのは、平匡が「朝まで」を、いきなり〝やることリスト〟に変換してしまうところ。数独、Wii、ロボホン。どれも「一人でも成立する娯楽」なんです。つまり平匡は、二人で夜を越えるという出来事を、いったん「イベント」にして企画し直そうとしている。笑 恋愛の場面なのに、段取り脳が暴走するズレが平匡らしい可笑しさを生むわけです。
ただ、このズレは平匡の不器用さだけでなく、誠実さの現れでもある気がします。勢いだけで踏み越えない。相手を雑に扱わないために、いったん〝安全な選択肢〟に避難する。ドラマが始まった第1話の頃は、そもそも他人と生活空間を共有すること自体が難しかった平匡ですから、「朝まで一緒にいる」が急に現実味を帯びたとき、計画、手順、運用といった慣れた方法に逃げ込むのは、自然なんでしょうね。
さらに言うと、ここで「ロボホン」が混じっているのが、妙に効いているとおもいます。数独やWiiは、まだ〝遊び〟の範囲で説明できる。でもロボホンって、「相手をしてくれる」「間を埋めてくれる」「沈黙を怖くしない」装置でもある。平匡にとって「朝まで」の怖さは、肉体的なこと以前に、むしろ沈黙や距離感の問題———どう話すか、どう黙るか、どれくらい近くにいるか———のほうにあるのかもしれません。だから、ロボホンが候補に上がってくる。恋愛が突然、コミュニケーションの〝インターフェース問題〟みたいになってしまうのが『逃げ恥』らしいところです。
そして決定打は、最後の一行、「今はそういう事じゃない…」。ここで平匡の頭の中が、遊びの計画から別の焦点へと切り替わる。この一行に、第1話からの変化が凝縮されているのではないかと。初期の平匡は、関係を「契約」や「家事労働」や「合理性」で捉えることで安定させていた。でも第10話のここでは、関係がいい感じに進んでしまった分、逆に誤魔化しの効かない〝問い〟が立ってしまうんですね。
つまり、今夜は何をするのか。何を共有する夜なのか。二人の間に何が起きようとしているのか———そういう、生活と親密さが本格的に接続される地点に来てしまった。だから「朝まで数独」も「朝までWii」も「朝までロボホン」も、楽しそうではあるけれど、「今はそういう事じゃない」。平匡のこの一言は、欲望の否定というより、焦点合わせのようにも聞こえます。
恋愛ドラマのクライマックスって、派手な告白やキスになりがちだけれど、『逃げ恥』は、その手前の「段取りの迷子」や「沈黙の怖さ」まで含めて描く。だからこのモノローグは笑えるけれど、どこか切なく、妙にリアルなんですよね。

この名セリフ&名場面集で紹介しているセリフは、2020年に放映された『逃げ恥・ムズキュン特別編』を土台に、野木亜紀子さんの『逃げ恥シナリオブック』での記述を参考にしています。なぜTVドラマ『逃げ恥』のシーンを毎日投稿しているか、その理由については、この連投記事の初回に書いた(その1)の記事のコメントをお読みください。
ちなみに、4/10に投稿した(その60)の記事には、それまでに投稿した全記事のINDEXと、逃げ恥関連の投稿記事リンク集を載せました。未読記事がある方は是非そちらから参照を。
明日の記事では第10話のシーンをお届けします。
ではまた!(^^)/

