落合陽一「超AI時代の世界、日本、そして人間」(その4)
2026/10/25
昨日10/24に投稿した記事の続きを。
落合陽一さんがPIVOTチャンネルにゲスト出演され
2026.3.19にアップされた
次のYouTube動画を文字起こしをして
10/22から昨日まで3回に分けご紹介してきました。
【超AI時代の世界:戦争がまた起きる】落合陽一のAI活用/1年以内にAGI/研究自動化、AI創薬が進む/落合信彦と今の時代/「AI×戦争」の融合/フィジカルAIの中心は国防/米中の勝者/エネルギー戦争
未読分のある方は、以下の記事を先にどうぞ!
・落合陽一「超AI時代の世界、日本、そして人間」(その1)
本日投稿する文字起こしテキストは、
1本目の続きにあたる
2026.3.22にアップされた2本目動画の
冒頭から11分36秒あたりまで、
インタビュアーは佐々木紀彦さんです。
【超AI時代の人間:ご縁が大切になる】仕事時間は本当に減るか?/娯楽の道具が少なすぎる/人口減少のメリット/「軍事×ライフ」の時代/ご縁が大切になる/サバイブからコバイブへ/人間には意義も意味もない
(文字起こし・ここから)
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AI時代の「働く」の再定義
佐々木:その流れで、最後の人間のところ、仕事とか人間とか生活のところでいくと。仕事の割合は、結局、減るんですか?
落合:これは面白い話ですね。ケインズの話をよくしているじゃないですか。「働かなくてよくなる」と言っていた。だけど、ケインズが言っていた資本の上昇というのは、実際には経済が17.5倍ぐらい成長しているので、つまり、予測よりはめっちゃ伸びていたんです。何が起こっているかといったら、ケインズの予測は、経済については過小評価なんです。

「ケインズの言うとおりにいけば」というのは、もう、とっくに言うとおり以上にいっているので。再分配がうまくいっていないし、あと、労働時間は、ケインズの予測では年間750時間に減るって言ってたけど、実際は1,500時間以上なんですよね。つまり、2倍ぐらい違うんですよ。じゃあ、これでどうする、という問題なんですけど。この問題は結構、面白くて。
じゃぁ生き方、働き方はどうなるか。働かなくなるかといったら、「まあ、働くんじゃない?」。でも、「働く」と言われているものが、その前の世界の「働く」とは全然違うんじゃないか、という話をしていて。江戸時代の人から見たら、今の「働く」というのは、結構、謎なところで。
佐々木:相当、働いていますよね。
落合:というより、何と言ったらいいかな。多分、江戸時代の人に、今のエージェント時代の説明をすると、結構、面白くなりそうなんですけど。江戸時代の働き方って何ですかといったら、食べるために働いているわけですよね。
佐々木:確かに。
落合:そうそう。つまり、食料生産をしたり、食料と交換可能なものを作ったりするために働いているじゃないですか。その後、日本は、輸入しながらも、割と自力で産業革命を起こしたところがあるじゃない。それで何をしていたかといったら、工場生産を支えるために働いたり、相変わらず食料を作ったりしていて。
その後の「働く」はどうなったかといったら、知的システムを人間が回すために、ホワイトカラーという職種が出てきて、仕様書を書いたり、契約書を渡したりしていた。でも、そんなことをしなくたって、工場ではものが作られ続けているし。知的生産として、研究したり、新しいものを発明したりすることも、人間がやっていたわけですよね。エンジニアリングや設計をしたりとか。
それが、エージェントによって、もう終わりつつあって。それで、江戸時代の人に、今のホワイトカラーの仕事を説明したら、「なぜ、その表を埋めることが、飯を食うことにつながるのか、全く分からない」という話になっちゃう。
佐々木:そっか。それ自体が異常だったんだ。
落合:うん。その150年間ぐらい、結構、異常な労働の仕方をしていて。それが今度は、直接生産的なことはロボットがやるようになって、AIが知的生産をするようになる。そうすると、人間は、人間同士の関係をどうやったら面白く、楽しく、何か文化的な価値に投ずるか、みたいなことに、多分、結構な時間を使うようになるはずなんですけど。そのための、よく分からない道具が、実は圧倒的に不足しているんですよ。
働く道具は多いのに楽しむ道具が少なすぎる
落合:つまり、働くための道具は、いっぱい作った。プログラムを書くための道具も作ったし、テレカンをするための道具も作った。でも、だらだらと受動的に娯楽を楽しむための道具は、そんなにいっぱいはない。映画を見るぐらいしか。だって、映画なんて100何十年前から見ているのに、相変わらずNetflixで映画を見ていて、見方は変わっていないですよね。
佐々木:そうですね。
落合:ゲームは増えてきたし、ゲームのつくりかた、ゲーム自体はよくなった。だけど、ゲーム以外の世界では、フィジカルの世界には、いっぱい楽しみがあるじゃないですか。でも、デジタルの世界には、それほどいっぱい楽しみがない。AIを使って楽しみを創造しながら生きるために、我々は何をするか。
そのための生産設備自体は、ほぼほぼ安いコストで、みんなにばらまかれているんですよね。だから、「これを使って、何か面白い、アホなことをしよう」というのが、人間向けのこと。さっきのサイエンスや軍事は、人間向けというよりは、もう産業が決めている方向性があって、それに向かってひたすら突き進んでいくところなので。それは勝手にやっていくけど、人間の文化や価値の発見は、まだ十分ではないというのが、僕の思っているところかな。
佐々木:そこの価値の発見ですね。
落合:価値の再発見を、どうやってしていくかが、恐らく重要で。この前、オードリー・タンと話していて、「フィクションとノンフィクションの関係みたいなものだよね」という話になって。世の中には、フィクションがバーッとある。王権神授説は、明らかなフィクションだったけど、みんなが信じたから、ノンフィクションだったんだ、と。
資本主義も明らかにフィクションだけど、みんなが信じたから、一応ノンフィクションじゃないですか。でも、会社を最初に始めた人が、その会社の権利を持っているって、よく分からないよね。別に、それはそういう約束にしただけで。例えば、古い老舗の温泉旅館の従業員が100人いたとき、経営者だけがその旅館を持っている、というお約束で我々は生きていますけど。
100人の従業員が100分の1ずつ業務を支えていたら、その外側のものも持っていて、別におかしくないわけですよね。でも、共産主義はうまくいかなかったね、と。生産設備を全員で共有しても、そうしたら、手を抜く人間もいるよね、となってくる。
生産設備はすでに配られている
落合:でも、ある意味では、AIエージェントを全世界の人に配っているから、労働の生産設備という意味では、圧倒的な生産設備を、もうみんなが持っている状態にすごく近い。それなのに、「じゃあ、なぜ新しいものが出てこないの?」と言われたら、それで新しいものを作ろうとする人が、極めて少ないからかもしれなくて。これは、人間が今、突きつけられている本質的な問題で。
佐々木:大部分が、消費者になっちゃうんですね。
落合:そう。大体は消費者。今やっている、薄く広く与えられた、Excelを埋めたりする仕事にAIを使って満足するという状態になっていて。でも、それは攻撃性がないところからすれば、もう、圧倒的なレイオフの嵐で、エントリージョブ消滅、という感じですよね。ただ、今、この国で起ころうとしているのは、省人化と人口減少を同時に食らっているということなので。人口減少局面でAIが自動化してくれるなんて、いいことでしかないんですよ。しかも、だって、人が足りないからね。いらないところに、人がいっぱいいるだけで。職業構造のリセットは、日本にとっては、めちゃくちゃ得。要は、社会が筋肉質になるということなので、いいんじゃない、と思いますけどね。
佐々木:確かに。日本の人口減少は、ある意味いいタイミングで起きたとも言えるわけですからね。
落合:そうですね。人口爆発のときにAIが出てきたら、地獄ですよ。内乱ですからね。
佐々木:そうですよね。
落合:だって、「お前ら、いらないじゃん」と経営者が言っていて、AIエージェントが働いて、そいつだけ金持ちなんですよ。
佐々木:確かにね。
落合:そうしたら、「金なんて信頼できない」となるじゃないですか。多分、どこかの国では、なると思うんですけど。
「誰でも作れる」という社会の独善性
佐々木:そうか。ライフで楽しむためのものを作る。例えば、アニメなんかも、そこから生まれてきたものですよね。
落合:はい、本質的に。1970年代以降に、もちろん、それより前からアニメは作っているけど、今、ポップカルチャーで売れているアニメは、あの時代以降にバーッとできたものじゃないですか。ガンダムにしろ、何にしろ。
佐々木:だから、エンタメの価値が上がっているわけで、スポーツなども価値が上がっているわけで。フィジカル、デジタルの両方で、暇つぶしの価値が、どんどん上がっていくということですね。
落合:上がっていますよね。
佐々木:でも、そうなったときの社会って、例えば、ピーター・ティールなどの加速主義では、すごく優秀なCEO的な人たちが、さらに技術開発を進めて、圧倒的に技術進歩を加速させる。その人たちが、そういうものを使って統治し、ほかの人は、結構、ベーシックインカムで生きる、という世界観じゃないですか。やっぱり、そうなるんですか?
落合:でも、今、現実には結構、近いんですよ。ベーシックインカムの代わりに、ChatGPTを配っていると考えると、近い。
佐々木:そっか、そっか。
落合:これのすごく独善的なところは、何かといったら。「ほら、君も明日ChatGPTを使えば、いいサービスを作れるかもしれないし。でも、それを作らなかったのは、君の選択だから。努力が足りなかったわけでもなくて、別に作らなかっただけだよね。だから、問題ないでしょ」と言われたら。納得させる強さはあるけど、「そのフィクションには乗れないな」と思う人は、結構、多いと思う。
佐々木:そうですよね。そこは、ある種、独裁制みたいなものですもんね。エリート寡頭主義みたいなものですよね。
落合:うん。ただ、事実、結構、面白いものを誰かがポンと作る、という世界には、今、なっている気がするんですけどね。
佐々木:でも、その人たちが、すべての権力を握るかどうかは、また別の問題ですね。
落合:別の問題です。
技術が変われば安全保障も変わる
落合:ただ、そこで軍事をやらないといけないかといったら、軍事は確実にやらないといけないですよね。自動化する道具が世の中に出てきたら、産業構造が変わってしまっているうえに、安全保障構造も変わってしまっているので。今まで、技術が変わった瞬間に、軍事は変わってきたじゃないですか。
つまり、核ができたら、軍備は変わるわけですよ。エージェントができたら、それで軍備は変わるわけで。今は、多分、ほぼ通常兵器ではない話になってきている。通常兵器なんですけど。人間が操作して、戦闘機に乗って、爆弾を落として戦うときには、レーダーが必要だったり、迎撃システムが重要だったりするんですけど。
人間が乗っていない兵器が、自爆前提で、大量に、めっちゃ安いコストで飛んでくる時代になったら、それは戦い方が変わるので。必然的に、国防のことは再検討し直さないといけない、という段階に全世界がなっている。その中で、実際に戦闘をしているところが、この世界には2、3か所あるわけなので、そこで得た知見がフィードバックされて。そこで今、進化しているじゃないですか。
佐々木:はい。
落合:だって、ウクライナ戦争で得たドローンのノウハウが、イランでも生きているし。逆に、反対側にも、ウクライナからそのノウハウが移入されているわけですよね。そういう世界なので、明らかに構造は変わりつつある。
「軍事」と「ライフ」が並存する時代
佐々木:日本から見ると、両極の流れが並存していますね。これまでは、いわゆる「平和ボケ」と言われていたわけですけど、本当に国防のために、ここに徹底的に力を入れなければいけないという、今までになかった軍事の道。一方で、ライフ、暇つぶしで、いかに生活を楽しむかという、緩い道じゃないですか。この2つを同時にやる時代、ということですか?
落合:そうですね、軍事とライフです。
佐々木:軍事とライフか。
落合:軍事とライフ。でも、1920年代は、すごくそういう感じだったと思っていて。第一次世界大戦後の第二次世界大戦前。
佐々木:確かに。
落合:なので、今は割と、その当時の、第二次世界大戦より少し前ぐらいの世界観や空気感に、結構、似ているんじゃないかなと思って。
佐々木:確かに。戦争が始まる前に生きていた人に話を聞くと、結構、普通に「アメリカ大好き」とか、文化も繁栄していて、普通の生活は全然、穏やかだったみたいですね。一方で、軍人さんたちは、外で戦っているわけじゃないですか。そういうものが並存するんですね。
落合:並存します。中国で戦ったり、満州やったりしていたりする頃に、こっちでは、結構、楽しく映画をやったり、キャバレーをやったりしていましたよね、20年代。
佐々木:していましたよね。
落合:戦いとライフは並存するんだけど、道具が急激に進化しちゃったあとの、人類の価値観の作り方と、覇権の握り方みたいな話は、やっぱり歴史を繰り返しちゃうので。「1925年っぽいかな」とか、「1927年っぽいな」とか、「1923年っぽいな」とか。そういうことを思いながら、僕はよく今の世界を見ているんですけど。
佐々木:そうか、一方では国防の兵器の話をしながら、一方では家に帰ったり、普段はアニメの話をしたりする。その両極が内在していく、ということですね。そうか、振れ幅がでかい。
落合:はい。だから、働くためのツールを作っている場合じゃないし、ホワイトカラーの道具を作るためにコンピューターを使っていても、それは今いちなので。そこは、一気にガラッと変わっていくだろうけど。(11分36秒あたりまで)
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(文字起こし・ここまで)
この続き、2本目の動画後半の文字起こしは
また明日に!(^^)/

