「〝教えない〟性教育」考(その23)
2023/11/28
11/6より教えない性教育をテーマに
記事を書き始め、本日分が23回目となりました。
(その5)からは、
〝教えない性教育〟を実践しようとする際に
わたしが推薦するに値すると考える
参考図書などの情報素材を紹介してきましたが、
11月も終わりが近づいてきていますし、
明日投稿を予定している(その24)で
いったん締めくくるつもりでいます。
未読記事がある方は、この記事の末尾に付けた
過去記事や参考記事のリストを
適宜参照の上で以下の記事をご覧ください。
重要なことから書いたつもりなので、
過去記事をすべて読む時間的余裕の無い方は、
(その1)から(その7)あたりまでを
ご覧戴けると有難いです。
前々回(その21)では、
社会学者の宮台真司さんが中学生に
「性と愛」をテーマにレクチャーしている内容を
『中学生からの愛の授業』から引用したんですが、
前回(その22)では、
それまで長々と書いてきた話をふりかえったり
整理したりしながら、
そもそもこのテーマで記事を書き始めたきっかけが
映画『春画先生』を紹介することであったことや
その記事のタイトルが
「〝教えない〟性教育」となっていることの意義は、
読まれる皆さんに
こうして書いている記事のひとつひとつを
教えようとすることが目的ではないことなど、
この記事をどのように読んだらいいかを
確認したりしました。
「教えない」ということは、けっして
「教える」ことを否定しているわけではなく、
結果的には「教えない」というやり方で
何かを「教えている」わけだから、
そのことを、車の運転にたとえて、
「教える」ことはアクセルであって
「教えない」ことはブレーキのようなものだ、
という話を書いたことがありました。
それで今日は、以前
「もし、井上さんが学校で
性教育の授業をするなら、
どんなことを子どもたちに教えますか?」と
問われたことがあり、
そのときに、中学1年生を対象に、
ゲスト講師として1コマの授業(50分)を
行うということを前提で
指導案を考えたことがあるので、
その話を書いてみようかと。
「〝教えない〟性教育」ならぬ
「〝教える〟性教育」ですね〜。
今日の記事の冒頭にタコのイラストがあるのは、
タコの生態が性教育の素材だからで、
題して、「タコの生態に学ぶ人間の愛と性」
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1.導入
タコという生き物について何を知っているか、
問いかけて確認して棚卸しをしてみる。
多くの子どもが知っていて
すぐ出てくる可能性が一番高いこたえは、
「脚が8本あること」
「タコのことを英語で何て言うか知ってる?」と
問いかける。
「octopus」という答が返ってきたら、
このoctopusって単語は〝8本の足〟って意味。
octoが8で、pusが足。
ped-, pod-, pus- は「足」を表すんだ。
pedestrianは「通行人」って意味だし、
自転車を足でこぐのはペダル(pedal)だよね。
octoが8って言ったけど、
Octoberって何月? 10月だよね?
octoは8なのに、何で10月なんだろう?
わかるかな?
ローマ暦は日本の暦と違って3月から始まるから
2ヶ月後にずれたんだね。
たとえば、9月はSeptemberでしょ?
Septってsevenと同じ語源のコトバだから
7って意味。
「タコのこと、この他に何か知ってる人いますか?」
出てくる可能性の高いコトとしては次の5つ。
→出てこなければ教える。
①墨を吐く
→敵とおもわれし生き物が接近してきたときに
自分の身を守るため
②身体の色を変え他生物の姿を擬態する
→目的は①にほぼ同じ
【参考YouTube動画(外部リンク)】
③タコの一生は人間に比べるととても短い
→寿命は平均で1~2年、長くて3~5年ほど。
④脳が9つあり心臓が3つある
→足1本ずつに脳があってその他に
全部を統制する脳があるから、8+1=9個
タコってハイスペックな身体持ってるんだね〜
【参考記事(外部リンク)】
・タコの心臓は3つ!脳みそは9つ!ハイスペックなタコの生体に迫る
⑤学名で正式には、軟体動物門、頭足綱(頭足類)
鞘形亜綱 八腕形上目 タコ目に分類される仲間
→頭足つまり、アタマにじかに脚がついている
タコ以外の同じ仲間の動物としては
イカ、オウム貝、絶滅したアンモナイト等がある
「これから3つの問いかけをします。
その1は、どうやってタコの腕と脚を見分けるか?」
(これは笑いを取るための問い)
正解は、ポカン!とアタマを強く叩いてやる。
そしたら
「イタタタタァ!」って (>_<)
アタマを押さえたのが腕なんだってわかるよ!笑
これは、むかし落語家の
林家三平(1925〜1980年・初代)って人が
時々使ってたらしいネタなんだけど。
しょーもなかった?
「ドーモ、スミマセン!」(三平さんの十八番)
でも、真面目な話、世界の生物学者の中には、
このことを専門に研究している人がいるみたいで、
その研究の成果によると、どうやら
8本のうち2本が脚で、6本が腕だとわかったとか。
【参考記事(外部リンク)】
・タコの「足」のうち6本は腕、2本が脚=研究
でも、腕なのか脚なのかというのは、
今でも結論が出たわけではなく、
ハッキリよくわからないみたいだから、
興味を持った人は、研究してみるといいかも。
「さて、2つめの問いかけは、
オスとメスをどうやって見分けるか?」
これは、足についている吸盤のカタチでみるのが、
いちばんわかりやすいみたいなんだよね〜
揃っているのがメス、
バラバラなのがオス。
メスは整然としてるのに、オスはがさつなのかな?
あくまで見た印象だけど。
人間の男の子は2本の足の間に
もう1本、足が生えてるでしょう?笑
人間の場合は、それですぐわかるよね〜
さっきタコは足が8本って言ってたっけ。
ってことは、オスのタコの8本のうちの1本は、
先っちょからオシッコが出るんじゃないけど、
実は先の方には吸盤がついていなくて
人間の「オチンチン」にあたる役割をしてるんだ。
生物学的には、それを交接腕(こうせつわん)って
言うらしいんだけどね。
【参考記事(外部リンク)】
これから、タコの足を食べるときには、
「これはもしかしたらオチンチンかもしれないなぁ」
って思いながら頂きましょう!笑
さて、最後3つめなんだけど、これが一番重要!
「タコは一生の間に
何回セックスするか知ってますか?」
(予想)知っている子どもはほとんどいない
タコは一生のうち1回しかセックスしません。
オスのタコは、メスのタコに赤ちゃんの元になる
精子を渡すと、死んでしまいます。
そして、メスのタコはそれを受け取ると、
巣の中に籠もって産卵します。
その間、メスのタコは卵が孵化するまで
新鮮な海水を送り快適な環境を整え、
外敵が来て食べてしまわないよう
飲まず食わずで守り続けます。
1ヶ月ほどで孵化するんだけど、
飲まず食わずなので、孵化したことを見届けると、
メスのタコも死んでしまいます。
さて、みんなは人間だから、タコのように
一生の間にセックスできる回数が、
1回ってことはありません。
皆さんもこの先、好きな人とセックスすることが
きっとあるとおもいますが、
そういうときに、
今日のこの授業のことを思いだしてください。
そして、
「もし、自分がタコのように
一生の間にたった1度しか
セックスできないとしたら、
いま、目の前にいる人とセックスするだろうか?」
ということについて、
ちょっとだけ立ち止まって、考えてみてください。
以上
この続きはまた明日に!
【これまでの記事一覧】
・「〝教えない〟性教育」考(その11)
・「〝教えない〟性教育」考(その12)
・「〝教えない〟性教育」考(その13)
・「〝教えない〟性教育」考(その15)
・「〝教えない〟性教育」考(その16)
・「〝教えない〟性教育」考(その17)
・「〝教えない〟性教育」考(その18)
・「〝教えない〟性教育」考(その19)
※(その1)(その3)(その6)(その7)の4記事がとくに重要です
【参考記事(外部リンク)】
【関連する寺子屋塾blog過去記事】
・9/24都内某所にOPENする「坂本図書」構想や新刊本のこと