寺子屋塾

映画「PERFECT DAYS」観てきました

お問い合わせはこちら

映画「PERFECT DAYS」観てきました

映画「PERFECT DAYS」観てきました

2024/01/24

本日1月24日は、

1994年に自宅の1室から始めた

寺子屋塾の創立記念日で、丸30年になりました。

細々ながらこうして今日まで続けてこられたのは、
なにより多くの皆さまのご指導ご支援の賜物で、
心より感謝申し上げます。<(_ _)><(_ _)>

 

 

 

さて、少し前の記事でも予告したんですが、

 

先週末に名古屋の伏見ミリオン座

新作映画「PERFECT DAYS」を観てきたので、

今日はその話題を。

 

この映画は、昨年末12/22に封切られ、

主演の役所広司さんが、

昨年5月にフランスで行われた

第76回カンヌ国際映画祭で

日本人として19年ぶりに、

日本人では2人目の最優秀男優賞を受賞され

ずいぶん話題になったので、

ご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。

 

また、昨日1/23には、その「PERFECT DAYS」が

米アカデミー賞の国際長編映画賞に

ノミネートされたというニュース

流れてきていました。

 

そうした世界レベルでの評価の高さも

十分頷ける素晴らしい作品で

映像と音楽の美しさを十分堪能し、

数日たった今もなお余韻が残っています。

 

イイ映画は、観ている間の時間だけでなく、

観終わった後の時間までも

豊かにしてくれるんですね〜。

 

それにしても、2時間を超える長編なのに、

驚くほどコトバが少なくて、

ひとことで言うならば、

「アタマを空っぽにして身体で感じる映画」でした。

 

 

役所広司さん扮する主人公・平山正木は

東京の下町、スカイツリーの近くにあるアパートに

単身住んでいて、

公衆トイレの清掃員として働いています。

 

平山は、早朝まだ暗いうちから、

道路の落ち葉を

老女が竹ぼうきで掃除する音で目を覚まし、

布団をたたんで、階下に降り

身支度を始めます。

 

顔を洗い、歯を磨き、髭を剃り、

ふたたび2階にあがって、

窓際に置いた植物たちにスプレーで水をやり、

玄関脇の小さな棚に並んだ

ガラケー、車のキー、小銭をもって外へ。

 

駐車場脇の自販機で缶コーヒーを買い、

ミニバンに乗って仕事場へ出発。

 

 

公衆トイレをピカピカに清掃し、

昼食のサンドイッチを食べ、

帰宅してからは、自転車で銭湯に行き、

地下街にある行きつけの居酒屋で夕食を食べ、

帰宅してからは布団に寝そべって

眠たくなるまで本を読んで・・・

 

 

映像の半分以上が、そんなふうに

坦々と繰り返される平山の日常を映し出していて、

そこに物語性や

ドラマチックな展開は、ほぼほぼなくて、

ドキュメンタリー映画じゃないかと錯覚するほど。

 

 

そういう主人公なので

セリフもものすごく少ないんですが、

言葉からではなく、

その表情や立ち居振る舞い、

ルーティーンを脅かすように起きてくる

小さな事件への反応などから、

平山のこれまでの人生や、生きざまが

観ているわたしたちにも少しずつ垣間見えてきます。

 

 

近代的なトイレとオンボロアパート。

 

公園の木々や隅田川など自然いっぱいの風景と、

居酒屋やアダルトビデオのお店などがひしめく

猥雑な都会の地下街・・・

 

そのような光と影の対比が面白く、

ドイツ人であるヴィム・ヴェンダース監督は、

日本という国が、そして東京という街が

何より大好きなんだなぁと、

その、やさしいまなざしを感じて

ほっこりした気持ちにもなりました。

 

 

映画のタイトルが示すように

ルー・リードが唄う〝PERFECT DAY〟

この映画全体の

テーマ曲のように扱われているんですが、

この perfect とは、辞書的に訳せば、

「完璧な」という意味です。

 

でも平山は、なにも完璧な日々を目指し、

完璧な人生を目指して

そういう状況に至ったのではないでしょうから

いったいどこが perfect なんだろう?って、

このネーミングに対し、

違和感を覚える方がみえるかもしれません。

 

Lou Reed - Perfect day

 

この映画は、

登場人物のセリフが極端に少ないだけでなく、

狂言回し的な解説や、伏線の回収などの

ストーリー性がほとんど無いこともあって、

観終わったときには

「よくわからないなぁ・・」とか

「何が言いたいんだろう?」と感じられる方も

きっと少なくないでしょう。

 

 

それでも、この映画は全篇が音楽に溢れていて、

平山が車の移動中や、

アパートのラジカセで聴いてる音楽が

そのまま映画のBGMになっているんですが、

とっても渋くて、とにかくイイ!!

 

そして、そうした音楽を背景に

日常を坦々と繰り返し、

粛々とトイレ掃除している平山の表情が

浮かび上がってくるんですが、

それがほんとにイイんですよね〜。

 

幸せそうというか・・・

 

 

そうした平山の日常を

どう意味づけするかは、もちろん一律でなく、

人によって色んな受けとめ方があるとおもいます。

 

たぶん10人が観たら、

おそらくは、10通りの感想が返ってくる・・・

 

 

でも、そんなふうに多様に解釈できる幅を

どこまで拡げられるか、

そして、そうした各々の解釈を

受け入れられるキャパの大きさこそが

恐らくは優れた映画の要件でしょうから。

 

日常英語、スラングとしての perfect には

「ちょうどイイ」という意味もあって、

そうした振れ幅もあらかじめ織り込んでの

ネーミングなのかもしれません。

 

 

シンギュラリティ・・・

AIが人間のようにアート作品をつくる時代が、

もうすぐやって来るという声も

かまびすしく聞こえる昨今。

 

78歳になるヴェンダース監督にとって

これまでの集大成とも言えるようなこの作品を

凌駕する映画を

AIが制作するようになるまでに、

まだ100年ぐらいはかかるんじゃないでしょうか。

 

いや、ちょっと褒めすぎかな・・・

 

もちろん、100って数字は物理的な量じゃなく、

漠然と「とてもたくさんの」って

意味で使っているので、

ホントはそんなにはかからないだろうし、

勇み足であることを承知の上で書いてるんですが。

 

でも、人間の可能性って、

そして、不可能性ってことも含め

まだまだわたしたち人間自身が

わかり尽くしてしまった訳ではないとおもうので。

 

 

あと、個人的な話で蛇足ではありますが・・・

 

わたしが庭の写真を撮影して

Facebookに毎朝投稿することを始めたのは

2011年のことです。

 

4年前の夏からは毎朝、

自宅から地元の氏神を祀った神社までの

同じ道を30分散歩し、

同じ場所から

その日の空を撮ることを日課にしてきました。

 

月水金には同じように名古屋の教室に向かい、

塾生たちがいなくなったら

教室を閉め、

四日市の自宅に帰るという生活を

かれこれ10年近くくりかえしているので、

毎日毎日、アパートの出入口で空を見上げて

トイレ掃除に向かう平山の姿に、

わたし自身の姿を

重ね合わせながら観ていたことは、

さいごに書きとめておこうとおもいます。

 

PERFECT DAYS・・・

ひとりでも多くの人に、観て欲しい映画でした!

 

 

予告編映像を貼り付けておきます。

 

PERFECT DAYS (2023) | Trailer | Wim Wenders 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

●2021.9.1~2023.12.31記事タイトル一覧は

 こちらの記事(旧ブログ)からどうぞ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆寺子屋塾に関連するイベントのご案内☆
 

 1/27(土) 易経初級講座

 1/28(日) 映画VOP予告編⑥ビデオ上映会

 2/4(日) 『言葉のズレと共感幻想』読書会#6

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

◎らくだメソッド無料体験学習(1週間)

 詳細についてはこちらの記事をどうぞ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。