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大島清「外の世界は内なる自己を映し出す鏡」(今日の名言・その83)

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大島清「外の世界は内なる自己を映し出す鏡」(今日の名言・その83)

大島清「外の世界は内なる自己を映し出す鏡」(今日の名言・その83)

2024/08/04

 

 免疫機構における自己とは、


 非自己に対する自己ではなく、


 免疫機構が自己と認めたものが自己であり、

 認めないものが非自己である。


 免疫機構——生物としてのヒトの「認識」は、


 外部の非自己との関係で

 自己を決めるのではなく、


 自己の内部に


 「差異」を認めることによって決められる。

 あくまでも「自己」の問題。


 こういった自己の中に非自己を視る


 「内と外」の考え方は、


 20世紀も後半に入って

 数学、言語学、文学、人類学など

 あらゆる分野に起こっている。


 「自己とは何か?」と問いかけるとき、

 最近の文学では、


 「自己とは外の世界の別名である」という

 考え方をするようになった。


 つまり、外の世界は、

 内なる自己を映し出す鏡であり、

 言うなれば、


 「外の世界はわれわれ自身」ということである。

 

※大島清(1927〜2023・広島県生まれの性科学者、産婦人科医、大脳生理学者)『世紀末の病 エイズウィルスは、かく語りき』より

 

 

 

正解を知ることよりも、

問いが浮かぶかどうかがホント大事だなぁと

痛感する毎日です。

 

たとえば、昨日の「今日の名言」では、

ダンスパフォーマー・中村蓉さんの言葉を

取り上げたんですが、

あなたは、

「〝愛〟って何だろう?」という

問いが浮かびましたか?

 

 

一昨日投稿したニーチェの名言の記事に、

 

わかったつもりになっている

自分についての知識、情報、イメージ等を

一旦リセットして、

自己認識のしくみやあり方そのものを

考え直してみませんか?

 

と書いたんですが、

本日の「今日の名言」は、

「人間は、どうやって自分と自分以外を

 区別して認識しているんだろう?」

という問いにつながる

大島清さんの言葉をとりあげました。

 

この言葉が載っている

『世紀末の病 エイズウィルスは、かく語りき』は、

1986年に光文社から

カッパブックスとして出版されたもの。

 

わたしが手に入れたのは

1992年に出された文庫バージョンで

寺子屋塾を開いた直後の頃に読んで

大きなインパクトを受けたことを記憶しています。

 

ウイルスや免疫細胞という

分子生物学的なミクロの視点と

人類の文明というマクロの視点との

両面から人間の健康と性を捉えようとされていて

強く印象に残っているんですが、

とりわけ注目したのは、

冒頭に紹介した、

自己認識についての考察でした。

 

エイズは、後天性免疫不全症候群と

訳される病ですが、

人間の身体に備わっている免疫細胞が、

いったいどうやって自己というものを認識し、

自己と他者を

どうやって見分けているんだろうって

不思議におもいませんか?

 

「自己とは外の世界の別名である」

「外の世界は内なる自己を映し出す鏡」という

これらの言葉が

いったいどんな意味で、

何を言おうとされたものなのか、

三十台半ばだった当時のわたしが、

すぐにのみ込めたわけではありませんが、

この大島さんの言葉を

以後ずっと手放さなかったお陰で、

自己認識についての〝問い〟を

様々な形で深めて来られたように感じています。

 

 

ちなみに、先月は平野啓一郎さんの

『私とは何か 「個人」から「分人」へ』を入口に

12回にわたる記事を投稿し、

「私とは何か?」

「私を知るとはどういうことか?」という問いを

さまざまな側面から考察したので、

未読の方はどうぞ!

平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その1)
平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その2)
平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その3)
平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その4)
平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その5)
平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その6)
平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その7)
平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その8)
平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その9)
平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その10)
平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その11)
平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(その12・最終回)

 

 

 

※冒頭の画像はこちらのインタビュー記事から拝借しました <(_ _)>

 

 

【最近投稿した「今日の名言」シリーズ】

中村蓉「摩擦がなければ永遠なのに、摩擦がなければ愛じゃない」(今日の名言・その82)

ニーチェ「自分を知ることから始めよう」(今日の名言・その81)

土光敏夫「行動となって現れない思考は無用であり有害でさえある」(今日の名言・その80)

ユング「易は自ら問いを発する人に対してのみ己自身を開示する」(今日の名言・その79)

安部公房『砂の女』より(今日の名言・その78)

荘子『内篇』より「胡蝶の夢」(今日の名言・その77)

栗本慎一郎「ユニークであろうとすればユニークにはなれない」(今日の名言・その76)

道元禅師『正法眼蔵』現成公按より(今日の名言・その75)

岡田謙三「弱くてはいけない。強くてもいけない。」(今日の名言・その74)

篠田桃紅『これでおしまい』より(今日の名言・その73)

銀色夏生『詩集 エイプリル』より(今日の名言・その72)

ドビュッシー『ピアノのための12の練習曲』序文(今日の名言・その71)

ファラデー『ロウソクの科学』より(今日の名言・その70)

為末大「自分を認められるのは自分しかいません」(今日の名言・その69)

J.クリシュナムルティ「あなたは世界であり、世界はあなたである」(今日の名言・その68)

森下典子『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15の幸せ』より(今日の名言・その67)
ハンナ・アーレント「世界最大の悪は、ごく平凡な人間が行う悪です」(今日の名言・その66)
TVドラマ鈴木先生「体験は人間性を磨く上での貴重な教材だ。」(今日の名言・その65)
ベートーヴェン「つねに行為の動機のみを重んじて帰着する結果を想うな」(今日の名言・その64)
スヌーピー「配られたカードで勝負するしかないのさ」(今日の名言・その63)
映画『シェルタリング・スカイ』より「満月が昇る姿をあと幾度見るだろう?」(今日の名言・その62)
映画『マトリックス』より「これは最後のチャンスだ!青い薬を飲むか、赤い薬を飲むか?」(今日の名言・その61)

 ※(その61)の最後にその60以前の記事一覧を載せています

 

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