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TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その64)

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TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その64)

TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集(その64)

2026/04/14

2/10からこのブログでは、

TBSドラマ『逃げ恥』名セリフ&名場面集を

お届けしているんですが、

1話につき1シーンずつ

順番に追いかける形で紹介していて、

この記事で64回めになりました。


4/6に投稿した記事から六巡目が始まっていて
今日は、第9話の中盤部分で、

31分40秒過ぎたあたりから、

外出中のみくりがデパートに置かれた

ロボットのペッパー君と会話する場面を。

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〔デパート(銀座ベルビア館)のエントランスにて〕

〔みくりがエスカレーター横に置かれたペッパー君と対峙している。『話しかけてみてね』の札〕

みくり:〔近くに誰もいないことを確認して〕こんにちは!

ペッパー君:こんにちは!

みくり:あなたのお仕事は? ペッパー君は何ができるの?

ペッパー君:あなたを笑顔にします。淋しいときはそばにいて、楽しませるよ~

みくりM:(わたしより…有能だったりして…) 

みくり:でも、食事は作れないよね?

ペッパー君:はい。

みくり:誕生日にお祝いのケーキを作ることも、掃除に洗濯に、買い物もできないし、ハグだってできない… …

ペッパー君:〔頷く〕

みくり:はっ…

みくりM:(何を張り合っているのか…)

ペッパー君:ちょっと疲れてるんじゃない? ぼくの前では、無理することはありませんからね~。

みくり:〔ペッパー君の頭をなでなでして抱きつく〕

みくりM:(コミュニケーションがとれる上に、家事までできるロボットが開発されたら…みんな幸せになれそう)

ペッパー君:〔眼が赤くなる〕

みくりM:(そうなったらわたしは…職を失うけど…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』第9話より

 COMMENT:このペッパー君の場面、みくりがデパートのエントランスでロボットに話しかけて癒されるという、何のことはない「つなぎ」のシーンに見えます。ところが『逃げ恥』って、こういう小ネタみたいな場面に、核心となるテーマをしれっと紛れ込ませてくるから侮れません。みくりの中で進行しているのは「失職」の話です。しかもそれは、恋愛の不安よりもっと現代的でやっかいな不安———AIに置き換えられるかもしれない、という問題にまで波及している。そういう意味で、なかなかシビアな現実を突きつけられる場面でもあるんですね。

 

ペッパー君は「あなたを笑顔にします。淋しいときはそばにいて、楽しませるよ~」と明るく答えます。言ってみれば、癒しがサービスとしてパッケージ化された宣言です。ここに、みくりのモノローグ「わたしより…有能だったりして…」が入ってくるのが、妙に刺さる。みくりが張り合っている相手は、平匡でも、別の女性でもない。ロボットなんですよね。しかも相手は、情緒的なケアを担う〝商品〟で、便利さの話だけでは片付かない領域に踏み込んでくるから怖い。恋愛ドラマにいきなり市場原理が入ってきてしまう感じというか。

 

みくりが続けて確認するのも、やけに具体的です。「でも、食事は作れないよね?」「誕生日にお祝いのケーキを作ることも、掃除に洗濯に、買い物もできないし、ハグだってできない……」と。これ、表面上はロボットの性能チェックに見えて、聞こえてくるのは、みくり自身の存在理由の棚卸しです。自分が提供できるものは何か。家事という交換可能な労働と、ハグという交換できない親密さ。その両方を並べて、「まだわたしは必要とされる側にいるはずだ」と確かめようとしている。でも、そういう確認をしている時点で、すでに不安が始まっていることの現れでもありますね。

 

そしてみくりは途中で、はっと我に返る。「はっ…」「何を張り合っているのか…」。ここが、みくりらしい。入り込みすぎた自分を、外側から客観的に見直す視座の切り替えが、一瞬の間で起きる。ロボットが相手なら、こちらの感情がどれだけ過剰でも、相手は傷つかない。だからこそ、みくりはペッパー君の頭をなでて抱きつける。ペッパー君の「ぼくの前では、無理することはありませんからね~」というセリフも優しいんだけど、同時にシビアでもあります。自分が無理していることまで見抜かれているうえに、それを受け止めるのが、人間ではなく〝壊れない相手〟になってしまった。親密さの矛先が、壊れない相手に向いてしまう。癒されるのに、どこかぞっとする感じが残るのは、そのせいかもしれません。

 

みくりは内心、「家事までできるロボットが開発されたら…みんな幸せになれそう」とつぶやきます。でもすぐに「そうなったらわたしは…職を失うけど…」と続いていく。この二段落ちが、この場面の肝でしょう。社会全体の正しさ(効率化、幸福)と、個人の生存(役割、必要とされること)が、みくりの内側で衝突している。だから、笑えるのに切ない。ペッパー君の目が赤くなる演出も、共感の信号だけが先に出てくる不気味さがあって、癒される人もいるでしょうが、居心地の悪さを覚える人もいるのではないでしょうか。
 

結局このシーンは、みくりが「恋愛の不安」を語っているようでいて、視線はもっと生活の底に降りている。つまり「自分が代替される不安」を、真正面から引き受けようとしているんですね。だからこそ、軽い会話のように見えても、妙に後まで尾を引く。『逃げ恥』の小ネタが侮れないのは、まさにこういうところだとおもいました。

【時給233円】Pepper(ペッパーくん)接客での働きぶりとは?

YouTubeにペッパー君のPR動画があったので貼り付けておきます。



この名セリフ&名場面集で紹介しているセリフは、2020年に放映された『逃げ恥・ムズキュン特別編』を土台に、野木亜紀子さんの『逃げ恥シナリオブック』での記述を参考にしています。なぜTVドラマ『逃げ恥』のシーンを毎日投稿している理由については、この連投記事の初回として書いた(その1)の記事のコメントをお読みください。

ちなみに、4/10に投稿した(その60)の記事には、それまでに投稿した全記事のINDEXと、逃げ恥関連の投稿記事リンク集を載せました。未読記事がある方は是非そちらから参照を。

 

明日の記事は第10話のシーンをお届けします。
ではまた!(^^)/

 

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