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「きちんと教育するほど、いかに教育を受けないかを編み出す」逆説(養老孟司の教育談義・その1)

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「きちんと教育するほど、いかに教育を受けないかを編み出す」逆説(養老孟司の教育談義・その1)

「きちんと教育するほど、いかに教育を受けないかを編み出す」逆説(養老孟司の教育談義・その1)

2026/06/04

昨日投稿した記事は、

親子関係、家庭教育が主テーマでしたが、

今日は学校教育のお話です。


朝の散歩を毎日の日課にし始めたのが、
2020.7.1のことでした。

 

もう間もなく丸6年になるんですが、

自宅と神社の間を歩いている約30分の間は、
たいていiPhoneでYouTube動画を再生して

音声だけ聴いています。

3年ほど前、散歩の時聴いた養老孟司さんの動画で、

わたしが常々おもっていることと

かなり近い内容の話をされていた番組があり、

いつかこのブログでもシェアして

紹介しようと考えていました。

養老さんは、東京大学医学部や北里大学で

長年にわたって

解剖学を教えてこられた方です。

 

そのような経歴から、解剖学者の視点と

脳科学のアプローチ等から、

ものごとを認識する上で
世の多くの人が見落としがちな

盲点を鋭く突くお話を
具体例を交えながらわかりやすく書かれています。

 

450万部を超える大ベストセラーとなった

『バカの壁』がよく知られていますね。

 

「バカの壁」というのは、

〝理解できない壁〟のことですが、

人間はなかなか自分の中にあるそうした

「バカの壁」の存在を

なかなか認めようとしません。

 

まあ、認めたくない気持ちはわかるんですが、

「自分には理解できない壁がある」と

受け入れてしまえば、そこから

他者と向き合い、対話を続ける姿勢が拓かれ

自分の可能性も広がるし、

実にもったいないことをしているわけで。

 

自分の可能性を潰してしまうのは、

たいてい外的要因でなく

他でもない自分自身なんですね。

 

 

さて、前置きが長くなりました。

 

次の動画は、そんな養老さんの

日本の教育の問題点をテーマにしたお話です。

 

かなり辛口な内容で、とくに

学校関係の方には耳の痛い話かもしれませんが、

まずは聴いてみてください。

 

文字起こしテキストもつけておきます。

【養老孟司】日本の教育の問題点はどこにあるのか?一番気に入らないことをお話します


(文字起こしテキストここから)
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いま、わたしが一番気にいらない、日本の教育で一番気にいらないのは、少子化が起こってきたら、平気で統廃合をして一切議論しないことです。これってどういうことですかね。先生は「忙しい」と称して、夏休みも全員学校に行っておられます。それ、何ですかそれは。子ども、いないんですよ。つまりそれは、先生の仕事が、本音では「教育制度の維持」に変わっているんじゃないか。

 

それで、子どもの数が減ったのに統廃合する。「先生が忙しい」ってどういうことだろう。つまり子どもの数が減ってくれば、先生は暇になるはずであって、(そうなれば)その分、今までよりも一人ひとりのお子さんに余分に手をかけられるはずでしょ。そういう議論がないんですね。人数減ったから、学校を減らして当たり前みたいになってます。これは、教育について本気で考えてない証拠だとわたしは思ってまして。いいんでしょう?減らして、別に必要がないなら、減らすんだったらもっと思い切って減らしてください。
 

わたしが子どもだった頃って、実は非常に、ある意味でいろんなものがありませんでしたから、子どもは外で散々遊んでました。大人もほっぽりっぱなしです。自分が食べてゆくだけで精一杯ですから。そうすると大人のプレッシャーもないんです。ですから、そういう時代だと、子どもを集めて学校の教室に置いて、座らせて教えるって、大事なことだったと今でも思います。
 

今、逆じゃないでしょうか。野山走り回ってる子どもなんかほとんどいないのに、それをまた学校に集めて、じっと座らせておくっていうのは、これ全く意味のないことやってんじゃないかなっていう———ちょっと極端かもしれませんけど、その辺からまず変えていただいたらどうかな、と思います。
 

それで「学習とは何か」ということを、ちょっと申し上げたいんですけど。わたしは大学に長い間いたんで、教育———言ってみれば、保育園・幼稚園から小学校、中学校、高校を通って入ってきた生徒さんを、大学で預かったわけです。そうするとですね、それまでの教育の結果が、わたしの目の前にいるわけですから。そうすると、今の教育がどうなってんのかって、そこから逆算して、まあなんとなく分かる気がする。
 

最初から意地の悪いこと申し上げますが、例えば、わたし北里大学に数年いて———東大を途中で辞めて1年浪人しまして、それから北里大学に行って一般教育を教えたんですが、その時に非常に印象に残ってることがあるんです。いま言ったように、高校までの教育をずっと受けてきた子で、理科系ですから。

まずわたしは、自分の講義の最初に、コップに水が入ってるという例を挙げてですね。「この中にインクを一滴落とすと、しばらくすると消えるだろう?どうして消えるんだ?」っていうのを学生に聞くわけです。一番前に女の子が何人か座ってまして、元気にいるんですよ。女の子の方が今は前にいて、男の子は後ろの方しかいない。隙あったら逃げよう、って感じで座ってたんですけど、女の子が真面目に前にいて。それで、聞いたんですね。「どうして消えるんだ?」って。そうしたら、答えが———わたしは本当にその時、驚いたというか、感心したというか———なんて言ったかというと、「そういうもんだと思ってました」って言いました。笑

 

これってね、聞いたら何でもないでしょうけど、わたしは非常に強く印象に残ったんですよ。どうしてかって言いますとね、「なるほど」と思ったのは、そういうふうに思えば考えないで済む。そうでしょう?何が起こっても「そういうもんだ」と思えばいいんであって。そうするとね、それをどこで教わってきたか。だから、幼稚園・小学校・中学校・高校とずーっと先生がいろいろ言っても、「そういうもんだ」と思えば、そうでしょ?一切考えないで済む。何と、きちんと教育をすると、子どもは「いかに上手に教育を受けないか」という方法を編み出していくんですよね。
 

皆さん、お子さん説教してて、そう思ったことありません?悪いことしたからって親がガンガン怒る。それを子どもがどう聞いてるかというと、「親父が怒ってんな」っていうのだけを覚えているんですね。中身を覚えてるかというと全く覚えてない。笑 だってそうでしょ?次の日、同じことしてますから。そこをお気づきになったことありますか?教育って、ようするに〝形〟なんですね。〝形〟ってお分かりになります?つまり、親が怒っていれば、怒っているという〝形〟———よろしいですね?その子が大きくなったらどうするか。たぶん、(自分が親から受けてきたのと同じように)子どもに怒ると思います。つまり移るのは〝形〟なんですよ。中身はどうせ聞いてません。今日わたしが一生懸命しゃべっても、皆さん外へ出たら大抵忘れてると思います。笑 でも、それでいいんです。中身が問題じゃなくて、結局教育って移すことができるのは〝器〟なんですね。わたしはそう思っています。
 

新井紀子さんという国立情報学研究所の教授が、立派な調査の結果を出されて。「AI、人工知能ですね——— vs 教科書の読めない子どもたち」。中心は中学生です。簡単な問題、四択ですよ。4つ例文があって、「エベレストは世界一高い山である」。次に例えば「乗鞍岳はエベレストよりも低い」とか。それで例文に合うものを一つ選べ、って4つのなかから選ぶ。コンピューターとかできるんです、こういうの。これをやらせると、なんと中学生が全然できない、っていうのが新井さんの心配。しかも、それを彼女は読解力と呼んでいる———問題文をちゃんと読んでいれば解けるはずなのに、解けてないんで、「読解力がない」ということを指摘しておられます。しかも、その読解力が伸びるのは、中学段階だけ。高校生になったら伸びません、と。
 

どういうことか。だから、東大に入ってくるような、大勢入ってくる灘とか有名な高校がいっぱいありますね。御三家とか、麻布とか。そういう高校は、中学で読解力が伸び切った子どもを上手に入試で(選抜して)集めてるんだ、という結論を出してます。わたし、重要なことがそこにたくさん入ってると思うんです。高校生ぐらいになると、もうある程度決まっちゃうんですが、中学っていうところは、実は学習の段階で、わたしは非常に大切だということを改めて認識させられました。その時に、いろんなことが決まってきます。

特に大事なのは、反抗期ですね。学習の次に「自治」って言うんですが、自治の一つの根本は「自分が立つ」ってことでしょ?中学ですよ人間では。だから小学生は可愛いんです。親とか先生の言うこと聞きますから。でも、中学になると自分が出てくるんです、初めて。そこで、いろんなことが決まってきます。高校に入ると、もう決まっちゃって、ほぼ。そんな感じでわたしも教育を見てまして、中学生段階っていうのは、いろんなことが決まってくる大事な段階。さっきもちょっと言いましたけど、コンピューターができる簡単な四択の問題を、今の中学生ができないんですよ。かなりできない。そのできない理由なんですよ、わたしが言いたいのは、それ、新井さんは書いてません。何だと思います?あれね、問題文をちゃんと読んだら答えが当然できるんですよ。

 

だから、もう理由わかるでしょ?「読みたくない」んです。ね?さっき言ったでしょ。小学校からずーっと先生に教育を受けて、言ってることを聞きたくない。どうやってそれをバイパス(回避)するかってことを学んでくる。そうすると、試験の問題が出て文章が書いてあると、もう読まないんですよ。読みたくないから。適当に、「こんな問題だから、こういう答えしときゃいいんだろう」ってやってるんですよ、彼らは。上手に逃げてるな、とわたしは思う。そうでしょ?子どもに説教したことありますよ、まだ若い親だった頃は。聞いてないのはすぐわかりますからね、聞いてないのに説教したってダメだよ。
 

それから、学生を教えるようになって、学生に何言っても無駄だとつくづくわかってます。だからわたしは、講義は年に1度しかやりません。あと何をしてるかというと、解剖です。実習室に入れて、メスを持たせて、解剖する相手を渡しておけば、学生は本当に真面目にやります。だって(彼らは)さっき言いました。感覚から入ってきて、運動になって、どんどん上手になるし、そして本気で考えるようになりますよ。人の身体を見ながら、「この人の人生どうだったんだろう?」「なぜ今こうして自分とこういう形で向き合ったんだろう?」ってことを、3ヶ月かけますから。そうすると、ああいうことをやらせますと、学生が大人になります。もちろん、人によりますよ。でも、基本的には育ってきます。
 

だからわたしは、やっぱり実習以外のことは、ほとんどやらせる気がありません。こうやってお話しするのは、本当にこういう機会だけでいいんで、もう出たら忘れてもらっていいんですけど。学習の根本は、身体を含めて感覚と運動が関連して回っていくという。それしかない、というふうにわたしは思ってます。それを結果的に、日本の言葉で昔からなんて言うかというと「身につく」というんです。だから教養は、知識がいくらあっても意味がないので、身についてなきゃいけない。そうでしょ?それ以外は全部ウソです。ウソって言ったら極端ですけど。
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(文字起こしテキストここまで)

 

明日の記事では、養老孟司さんのこの動画に

わたしのコメントを書きます。

 

ではまた!(^^)/
 

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