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陰と陽とは何か㉑「六十四卦(その3)沢雷随〜地雷復」

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陰と陽とは何か㉑「六十四卦(その3)沢雷随〜地雷復」

陰と陽とは何か㉑「六十四卦(その3)沢雷随〜地雷復」

2024/06/23

6/3からこの寺子屋塾ブログでは、

「陰と陽とは何か」というテーマで投稿していて、

本日6/23の記事で21回目になります。

 

①〜⑤は陰と陽のベーシックな基本事項、

⑥〜⑩は八卦の基本事項、

⑪〜⑮は日常生活での応用、

⑯〜⑱は陰と陽についての練習問題集クラックス

⑲からは六十四卦について、というように

中テーマ的なまとまりはあるものの、

全体でひとつらなりの内容を書いてきました。

 

本日投稿する記事の内容は、

これまで投稿してきた記事をすべて読んでいないと

まったく理解できないわけではありませんが、

これまでの内容が前提であり、

すべてつながりあっているものではあるので、

以下に未読記事がある方は

可能な範囲で確認下さると有難いです。

 

陰と陽とは何か①(易経の十翼『文言伝』より乾為天)

陰と陽とは何か②(易経の十翼『文言伝』より坤為地)

陰と陽とは何か③「エネルギー構造」

陰と陽とは何か④「求心力と遠心力」

陰と陽とは何か⑤「主観と客観の相対性」

陰と陽とは何か⑥「八卦(その1)」(易経の十翼『説卦伝』)

陰と陽とは何か⑦「八卦(その2)」(卦象と卦徳)

陰と陽とは何か⑧「八卦(その3)」(主爻、陽卦と陰卦)

陰と陽とは何か⑨「八卦(その4)」(裏卦と綜卦)

陰と陽とは何か⑩「八卦(その5)」(なぜ陰が六で陽が九?)

陰と陽とは何か⑪「日常生活での応用(その1)料理の原則」

陰と陽とは何か⑫「日常生活での応用(その2)コマイヌ」

陰と陽とは何か⑬「日常生活での応用(その3)仁王像の不思議」

陰と陽とは何か⑭「日常生活での応用(その4)食べ物にみる陰陽」

陰と陽とは何か⑮「日常生活での応用(その5)運勢、運命、使命」

陰と陽とは何か⑯「練習問題集〝クラックス〟(その1)」

陰と陽とは何か⑰「練習問題集〝クラックス〟(その2)」

陰と陽とは何か⑱「練習問題集〝クラックス〟(その3)」

陰と陽とは何か⑲「六十四卦(その1)乾為天〜水地比」

陰と陽とは何か⑳「六十四卦(その2)風天小畜〜雷地豫」

 

 

さて、今日は六十四卦註解の3回目で、

以下17番目から24番目までの8つの卦

 

17.沢雷隨(たくらいずい)
18.山風蠱(さんぷうこ)
19.地沢臨(ちたくりん)
20.風地観(ふうちかん)
21.火雷噬嗑(からいぜいごう)
22.山火賁(さんかひ)
23.山地剝(さんちはく)
24.地雷復(ちらいふく)

 

について、これまでと同じように、

卦象の図版、卦辞の白文、読み下し文、ひらがな文、

卦辞の大意、井上のコメントと続けて記します。

 

今日の記事では、

六十四卦に絡む基礎事項として

全卦八卦や十二消長卦についても触れました。

 

〔卦辞白文〕

随。元亨利貞。无咎。 

 

〔読み下し文〕 

随(ずい)は、元(おお)いに亨(とお)る。貞(ただ)しきに利(り)あり。咎(とが)なし。

 

〔ひらがな文〕

ずいはおおいにとおる。ただしきにりあり。とがなし。

 

〔大意〕

沢雷随の時、大いに通じる。貞正であれば良い。問題はない。

 

〔井上のコメント〕

「随」は従う、随行する意。末娘を表す外卦「沢(兌)」に、長男を表す内卦「雷(震)」が随(したが)う時と見ます。よって、自己主張したり、独立してコトを起こしたりするよりも、古い観念を棄て信頼できる人に従う時です。ゆっくりと力を蓄え、相手のペースに任せて吉。また、三陰三陽の組み合わせは、バランスの良い関係を暗示し、男女関係においては恋愛運好調の時と見ます。好きな相手に尽くすのが喜びになるので、たとえ振り回されることになっても、まったく気にならないかもしれません。ただ、本命の異性との関係を進展させたいなら、過去をきれいさっぱり清算し、未練や腐れ縁を断ち切るべき時とも言えるでしょう。タイミングを見計らい臨機応変な対応がポイントです。

沢雷随の場合、次の18.山風蠱とは上下をひっくり返した綜卦であるのと同時に、陰陽を反転させた錯卦の関係でもあるんですが、両者がどんな対比にあるか考えてみましょう。雑卦伝に「随は故(こと)无(な)きなり、蠱は飭(ととの)うなり」とあります。つまり、随は時の宜しきに従う意味で、周囲にある外側の動きや流れを見ながら身の処し方を考える卦とするなら、蠱は自らの内面の衝動や葛藤、対抗するものへの反発心などによって否応なく事態が進んでいってしまった卦。随は一定の理に囚われず手放していくプラスエントロピー方向をもっているとするなら、蠱は散乱した状態を整えていくマイナスエントロピー方向といえるでしょう。ちなみに、六十四卦のうち奇数卦とその次の偶数卦との関係が、綜卦でなおかつ錯卦でもある組み合わせは、この随と蠱の他には、11.地天泰と12.天地否、53.風山漸と54.雷沢帰妹、63水火既済と64.火水未済で全部で4組あります。

 

 

〔卦辞白文〕

蠱。元亨。利渉大川。先甲三日。後甲三日。 

 

〔読み下し文〕

蠱(こ)は元(おお)いに亨(とお)る.大川(たいせん)を渉(わた)るに利(り)あり。甲(こう)に先立(さきだ)つこと三日(さんじつ)、甲に後(おく)るること三日。

 

〔ひらがな文〕

こはおおいにとおる。たいせんをわたるにりあり。こうにさきだつことさんじつ、こうにおくるることさんじつ。

 

〔大意〕

山風蠱の時、大いに通じる。大川を渡っても良い。そのためには、戦争をする三日前に用意をし、三日後には戦争が終結するよう迅速に腐敗を取り除くことだ。

 

〔井上のコメント〕

「蠱」は字の如く「皿の上の三匹の虫が、お互いに食い合っている姿」。外卦「山(艮)」と内卦「風(巽)」の組み合わせから、「山に風が吹きつけ草木果実が散乱し腐敗している」という惨憺たる状況を暗示しています。この卦は、過去から放置されてきた弊害が極まり、表面はよく見えても、内部に難問が山積している状態にあるため、早めに決断して対処しましょう。ただ、蠱は力量不足による災禍ではなく、対処すべき問題を放置することによって招いた状況です。三陰三陽で陰陽バランスはとれているので、窮した後に変革が起こり、大いに通じる時でもあります。問題が表面化したチャンスと捉え、勇気を奮い起こして新風を吹き込み再出発に賭けましょう。先ず根本的原因を探って抜本的対策を熟慮し、収拾を見据え、用意周到かつ迅速に行動することです。

「蠱」という漢字は、訓読みでは「まどわす」「たぶらかす」となり今日の日本では日常ほとんど見ません。ただ、皿の上に虫を3つ山形に重ねて書くので、その形通りお皿の食べ残しが腐って虫がわいた状態はイメージしやすいでしょう。爻辞には父母の失敗の後始末をするといった言葉が見られるのですが、親(家族)の問題、内部的な問題にどう向き合うかが蠱卦の主テーマと言えます。11.地天泰との関係で見るなら、泰の状態が続いていい気になりすぎ、初爻と上爻が入れ替わっているのに、中味(二爻から五爻まで)はそのままで腐ってしまった形と解することも。

随卦のコメントで、この卦との対比にふれましたが、随と蠱は綜卦でもあり錯卦(裏卦)でもあるために他の組み合わせより若干分かりにくいかもしれません。人で見ると、沢雷随は沢(兌)→三女(若い女性)に雷(震)→長男(年上の男性)が従う状態、山風蠱は山(艮)→三男(若い男性)を風(巽)→長女(年上の女性)が誘いかける状態と捉えれば(「蠱惑(こわく)」という熟語あり)関係性も方向も逆になりますね。あと、蠱卦については、卦辞「先甲三日、後甲三日」の解釈が難しく諸説あるようです。上に記した大意では「3日前から準備をして3日のうちに終わらせる」と訳し「迅速さ、用意周到さ」の意味に捉えましたが、十干の順序(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)で見て「甲」の3つ前が「辛」、3つ後が「丁」であることから、「辛抱強く、丁寧に」の意味に捉えることもあるようで、ナルホドとおもいました。

 

 

〔卦辞白文〕

臨。元亨利貞。至于八月有凶。 

 

〔読み下し文〕

臨(りん)は、元(おおい)に亨(とお)る。貞(ただ)しきに利(り)あり。八月(はちがつ)に至(いた)りて凶(きょう)あり。

 

〔ひらがな文〕

りんは、おおいにとおる。ただしきにりあり。はちがつにいたりてきょうあり。

 

〔大意〕

地沢臨の時、大いに通じる。貞正であれば良い。八月に至ると凶あり。

 

〔井上のコメント〕

「臨」は臨機応変の臨で、望み眺める意。外卦の「地(坤)」は母親、内卦の「沢(兌)」は次女ですから、沢が地に沿って流れるように母と娘が寄り添うといった、微笑ましさを感じさせる運気にあると言えます。また、沢の上に地がせり出していると見て、断崖から湖沼を臨み見るという威風堂々とした景観をイメージしてもよいでしょう。四徳がすべて揃い、春爛漫の時であり、流れに逆らわずに柔軟に対応すれば、穏やかで幸せな日々を過ごすことができます。ただし、いずれ陽の気が弱まって陰の気が強くなることも暗示しており、満開の花も散ることを心しながら進みましょう。

綜卦にあたる次の20.風地観と同じ「見る」意味をもった卦ですが、新暦で1月(旧暦の12月)を表す十二消長卦(消息卦)のひとつなので、観卦と対比的に考えることで違いが理解しやすくなります。臨卦は陽爻が増えて行くタイミングにあり、「外側に向かって前進しのぞみ見る」意、観は陰卦が増えていくタイミングにあるので、「内側に向かって内省し、物の奥に隠された真実を心で見ようとする」意となります。また、各爻ではどのように望み眺めるかが示され、幕末1860年、日米修好通商条約批准の命をうけ派米された勝海舟が太平洋を横断した船「咸臨丸」の名は、地沢臨の初爻二爻の爻辞からとられています。幕末を生きた日本人の心意気と船に託された想いが垣間見えますね。

 

 

〔卦辞白文〕

観。盥而不薦。有孚顒若。 

 

〔読み下し文〕

観(かん)は盥(かん)して薦(せん)せず。孚(まこと)あって顒若(ぎょうじゃく)たり。

 

〔ひらがな文〕

かんはかんしてせんせず、まことあってぎょうじゃくたり。

 

〔大意〕

風地観の時、手を洗い清め、お供物を軽々しく捧げたりしない。誠が満ちていて、すべてのことが厳粛に行われる。

 

〔井上のコメント〕

「観」は観察する(目と心で見る)の意。「顒若」は厳正、厳粛なこと。内卦が「地(坤)」で外卦が「風(巽)」ですから、地上に風が吹いて曖昧だったことが明瞭になった状態を暗示しています。また、十二消長卦で観卦は9月(旧暦の8月)を示し、陽爻が残り2つなので、陽爻の勢いが衰えて減り、陰爻が増えることから「衰退」の意味を持ちます。何かと落ち着かず不安になりやすい時ですが、表面的な部分に惑わされず、心の目で物事を精査すること。祭祀に取りかかる時のように、礼儀正しく、道理に従い、従順な思考を持っていれば人から信頼され尊敬を受けます。学問や趣味に力を注ぐ好機でもありますが、基本的には現状維持を心がけ、頑固になるよりも流れに身を任せたほうが良いでしょう。見聞を広める旅行に良い時とされています。

 

また、52.艮為山のところにも書きますが、風地観は小成卦・艮(山)の全卦にあたり、艮の意味で解釈することがあることに注意してください。艮の卦徳は「止」で、止まっていないとちゃんと観察できません。全卦八卦は小成卦の三才(天人地)配置を大成卦に拡張したもので全部で8つあります(乾為天、雷天大壮、風沢中孚、地沢臨、天山遯、雷山小過、風地観、坤為地)。爻辞ではどんな人がどのように見るかが示され、たとえば初六は子どもが見る童観、六二は闚観(きかん・うかがい見る)といった具合です。六四の爻辞「観國之光」は観光という言葉の語源になりました。

 

 

 

〔卦辞白文〕

噬嗑。亨。利用獄。 

 

〔読み下し文〕

噬嗑(ぜいごう)は亨(とお)る。獄(ごく)を用(もち)うるに利(り)あり。

 

〔ひらがな文〕

ぜいごうはとおる。うったえをもちうるにりあり。

 

〔大意〕

火雷噬嗑の時は通じる。障害となるものは牢に入れてでも除去することだ。

 

〔井上のコメント〕

「噬嗑(ぜいごう)」とは日常ではほとんど聞かない言葉ですが、噬は「嚙むこと(→震→雷)」、嗑は「歯がぴったり噛み合うこと(→離→火)」で、合わせて噛み砕くの意に。中国は漢字の生まれた国ですから、漢字でいう象形文字のような発想と同じ感覚で、卦象が6本の爻の形からもイメージできるものがあり、この火雷噬嗑もそのひとつです。初爻が下顎、上爻が上顎を示しているのは、この先27番目に登場する卦・山雷頤(さんらいい)と同じで、噬嗑は、山雷頤の六四が陽転した形。つまり、九四が口の中にある噛み砕くべき異物を示したもの。卦辞の「獄を用うるに利あり」とは、邪魔者を取り除くには刑罰を用いるほか仕方がないという意味で、障害や刑罰などを暗示しています。トラブルや問題が生じやすい運気であっても、外卦「火(離)」が電(いなづま)と内卦「雷(震)」が雷(いかづち)の組み合わせですから、明察と威嚇によって障害を取り除く、「雨降って地固まる」時。ただ、問題はなかなか厄介なため、優柔不断な態度では解決が難しく、冷静沈着に断固とした処置、徹底抗戦が必要でしょう。イライラしたり落ち込みを感じてしまうかもしれませんが、途中で投げ出したり諦めたりせず、真正面から向き合うことで運気が開けると言えるでしょう。

雑卦伝では「噬嗑食也、賁无色也。」とあり、朱子はこの両卦は対になっていないと解釈したようです。たしかに、噬嗑卦を「食べる」意味で捉えようとするのには無理がありそうですが、賁卦は色がどんなに美しくても所詮は飾りにすぎず「食べる」「食べられない」という対比が可能かも。笑

 

 

〔卦辞白文〕

賁。亨。小利有攸往。 
 
〔読み下し文〕

賁(ひ)は亨(とお)る。小(すこ)しく往(ゆ)くところあるに利(り)あり。

ひはとおる。すこしくゆくところあるにりあり。
 
〔ひらがな文〕

山火賁の時は通じる。小さいことなら進んでも良い。
 
〔井上のコメント〕

「賁」は飾ること。外卦が「山(艮)」で内卦が「火(離)」ですから、山に沈む美しい夕陽を表しています。山々が夕日で赤くいろどられ、確かに息をのむほどに美しい姿ですが、それはあくまで表面的かつ一時的なもので、内面的、永続的なものではありません。美しく着飾ることや、美しいものを見たり触れたりするのによい時とされていますが、その一方で夕暮れ時は明るさに乏しく、遠くまで見通すことができないということから、下り坂の運気にあり、大きなことをする時ではないと見るわけです。とかく外見にとらわれ、体裁にこだわる時でもあり、メッキがはがれたら目もあてられなかった、ということにならないよう、中身の充実を心がけましょう。

「賁(ひ)」は、卉(「草」「盛ん」を意味する漢字)と貝の合字で、色美しい貝、彩りという意味から転じて「飾り」を表すようになった卦。一つ前の綜卦21.火雷噬嗑(ぜいごう)との対比について考えてみて下さい。賁は「表面を飾る、見栄えを良くする」ことから cover の意味、また、噬嗑の噬は「嚙むこと(→震→雷)」、嗑は「合うこと(→離→火)」で、「余分なものを除去する」ことから discover の意味になると捉えられれば、両卦は逆の方向性をもつことがわかりやすいかと。賁は、ものの価値をより効果的にしようと粧うことで、表面のみ飾り立てて中味を誤魔化すことではありません。食べ物も綺麗な器に盛り付けることで、より美味しさが引き立つわけですが、かといって器を食べるわけではありませんから、不相応に凝った器に盛り付けたり、器だけに気を取られてしまったりするのは困るわけです。飾ることはともするとそういう傾向に陥りやすく、中味の価値を高めることと体裁を取り繕うことは紙一重であることに注意。卦辞に「小さなコトなら進んでよい→大事を為すときではない」とあり、九三の爻辞も表向きにはキラキラ輝いていても、中味は空っぽだと自戒しているなら吉と条件付きのものとして解する姿勢が賢明でしょう。

 

 

〔卦辞白文〕

剥。不利有攸往。 

 

〔読み下し文〕

剝(はく)は、往(ゆ)くところあるに利(り)あらず。

 

〔ひらがな文〕

はくは、ゆくところあるにりあらず。

 

〔大意〕

山地剥の時には進んで事を行ってはならない。

 

〔井上のコメント〕

「剥」は追剥、剥奪の剥で、ハギ取られること。上卦「山(艮)」と下卦「地(坤)」の組み合わせでなぜ〝剝〟の意味が出てくるかといえば、山は地上本来高くそびえ立っているものなのに、山の土が崩落して地面とくっついてしまった状態と見ているようです。この卦は、全体を圧縮すると山になるので、唯一の陽爻である上爻が山崩れを起こして下まで落ちていく象。足もとが非常に不安定な時で、大きな危険が足元まで迫り、窮地に立たされることが暗示されている卦です。会社ではトップが苦しんでいる時で、倒産寸前の状態にあるなど、難問山積の時でしょう。あるいは、あなたがつきあげられ、ハガされる立場になるかもしれません。よって、いまは自分の身体や立場を守って、積極的に進むべきではありません。さまざまな災難や転落などの事故も起こりやすい時なので、充分な注意を怠らないことです。しかし、どうしようもない大困難ではなく、しっかりと頭を巡らせ、地道でも状況を立て直すようにしていれば、乗り越えられる運気でもあります。勉強や訓練によって自分の弱点を補強するよう努めましょう。

また、上下の卦を逆にした15.地山謙は、地面の下に高くそびえ立っているはずの山があることから、高い徳を外に見せずに隠し、〝謙遜〟の意味が出てくることと対比して理解するといいでしょう。山地剝は十二消息卦のひとつで(旧暦9月)一陽五陰の成り立ちから、陰が盛んになり陽が衰えるときであり、小人ばかりが栄え君子が困窮するときとみて、「行くところがあっても良いことはない」との卦辞になっています。序卦伝では22.山火賁の次に位置することについて、外見を取り繕って飾ってばかりだと実質が衰え尽きると書かれています。基本の段階では難しいですが、理解が進んだときにはひとつの卦を多面的に捉えるよう心がけ、他の卦とのつながりを多様に意識できると、理解が深まり解釈の自由度がより増すことでしょう。

 

 

〔卦辞白文〕

復。亨。出入无疾。朋来无咎。反復其道。七日来復。利有攸往。 
 
〔読み下し文〕

復(ふく)は亨(とお)る。出入(しゅつにゅう)疾(やまい)なし。朋(とも)来(きた)りて咎(とが)なし。その道(みち)に反復(はんぷく)す。七日(しちじつ)にして来(きた)り復(かえ)す。往(ゆ)くところあるに利(り)あり。

 

〔ひらがな文〕

ふくはとおる。しゅつにゅうやまいなし。ともきたりてとがなし。そのみちにはんぷくす。しちじつにしてきたりかえす。ゆくところあるにりあり。
 
〔大意〕

地雷復の時、通じる。どのように動いても障害はない。仲間が集まってきて問題はない。繰り返し事を行なっていれば、七日で新しい展開がある。進んで良い。
  
〔井上のコメント〕

「復」は帰る、戻る、回復、反復の意。外卦が「地(坤)」で内卦が「雷(震)」なので、雷が地の下に潜んでいる形で、重なる陰爻の一番下に陽爻が位置していることから、新しい時代の到来、活動の兆しが見えてきたことを暗示しています。この卦は、十二消長卦のひとつで坤為地の次に位置していますから、厳しい冬が去ってようやく春が訪れ、新芽が今にも吹き出そうとしている運気と言えるでしょう。しかし、開運の入口にやっと立ったところなので、あまりに性急に事を進めようとすると、スタート地点にまで逆戻りし、元の木阿弥になってしまいます。小さなことから順を追って進んでいきましょう。また、繰り返して行なうことで成功の得られる時でもあります。この機に諦めていたことにもう一度チャレンジしてみたらいかがでしょうか。各爻では、帰り方、戻り方をストーリーで表しています。

ひとつ前の綜卦23.山地剝と対照関係にありますから、卦辞も剥では「往く攸あるに利あらず」とあったところが、復では、「往く攸あるに利あり」となっています。「剥奪」されたのが「回復」したという風に、対比的に考えれば分かりやすいですね。地雷復は、暦で言えば〝冬至〟にあたり、時期を表す十二消長卦でも、坤為地をはさんで、対称的に捉えられ、四字熟語「一陽来復」(陰ばかりのところに陽がひとつ戻って来た)もこの卦では併せて憶えておくとよいでしょう。卦辞「反復の其の道、七日にして来復す」は消長が反復する過程を示していて、陽の極盛の時「乾為天」をゼロと置いたときに、天風姤→天山遯→天地否→風地観→山地剝→坤為地→地雷復と7番目に来る意味に解されています。

 

この復卦以外のコメントのところでも消長卦(十二消長卦)という言葉を使いました。この消長卦とは、1年のあいだに陰陽の気が消息し循環する様子を爻を用いて表したもの。ちょうど一昨日6/21は夏至でしたが、この「夏に至る」と書く夏至には、陽気が極まって一陰が生じます。そして夏至を過ぎると、陰気が徐々に盛んになり冬に向かって陽気は消滅していきます。冬至には、陰気が極まって一陽が生じ、陽気が徐々に盛んになって陰気が消滅していくというプロセスを表しているわけです。六十四卦の中でも十二消長卦は、陰陽が混雑せずはっきり分かれているため、他の卦に比べて強い意味を持つと解釈する場合がすくなくありません。

 

次図はこちらのページから拝借しました。<(_ _)>

 

 

本日分の卦辞註解は以上です。

 

明日も六十四卦の続きで、

25.天雷无妄から32.雷風恆までを記す予定です。

 

 

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