開高健「良い質問には答えが半分隠されている」(今日の名言・その98)
2024/11/09
良い質問には
※開高健(1930~1989・大阪生まれの作家)のことば〔出典不明ですがこちらのページの一番最後に掲載されています〕
※冒頭の画像は茅ヶ崎市開高健記念館のページより拝借しました
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開高健さんが書かれた本というと、
高校時代に小説『裸の王様』『パニック』、
エッセイ『白いページ』などを読んだことを
朧気に記憶しているんですが、
半世紀近くの大昔のことですし、
そこに何が書かれていたのかはほとんど
忘れてしまいました。
でも、不思議と開高さんの軽やかな存在感が
わたしのなかに確かに残っているのは、
『フィッシュ・オン』や『オーパ』などの
写真集から受けたインパクトが
強かったからかも知れません。
次の写真は開高健記念会のウエブサイトより
また、開高さんは、
一部を改変して(わたしは→あなたは)
色紙などによく書かれていたそうです。
この言葉は、
ルーマニア生まれの作家ゲオルギウが書いた
小説『第二のチャンス』で
ルターの言葉として引用されているのですが
それがルター自身の言葉だという確証は
見つけられていないというのが現状のようで。
【参考記事(いずれも外部リンク)】
・ルターのりんごの木: 格言の起源と戦後ドイツ人のメンタリティ
・開高健の色紙にあった言葉「明日世界が滅びるとしても、今日、あなたはリンゴの木を植える。」の出典を知りたい
さて、今日の名言は〝質問〟がテーマですが、
そもそもわたし自身が
この質問の大切さに気づいた時となると、
話はわたしが寺子屋塾を始める
30年以上前にさかのぼります。
25歳から32歳までの7年間、
小中学生対象の進学塾専任講師を
勤めた後に退職し、
自分がこれから実践しようとしている
教育への手がかりを求めて
上京したのが1992年のこと。
何をどのように教えればよいのか
ということばかり考えていた
わたしにとって、
その翌年1993年には
目からウロコが100枚くらい落ちる
衝撃的な体験をしました。
らくだメソッドの指導者養成プログラムとして
すくーるらくだで受講した
「ニュースクール講座」にて
初めて体験したプログラムが
インタビューゲームだったわけですが、
「何をどのように教えればよいのか?」という
質問を考えている姿勢自体、
教育における主役は
あくまで学習者であるという大切なことが
すっかり抜け落ちてしまっていたわけで、
考える方向が真逆だったんですね。
寺子屋塾を始める前のわたしは、
まったく質問が浮かばない人間でした。
小中学校時代の成績は良かった方でしたし、
いろんな事柄は
たくさん知っていたかもしれませんが、
「自分は何を知らないのか」については、
そもそも考えたコトがなく、
その計り知れなさを想像したことすらなく、
ただただ「知ったつもり」「わかったつもり」に
なっていただけだったのです。
でも、外側にある世界のことを
どんなにたくさん知ったところで、
自分が何をしたいのか、
どこへ行こうとしていて、
どんな人間なのかを知らなければ、
それを活かしようがありません。
つまり、知識は行動と結びついてはじめて
価値あるモノとなるので、
アタマに詰め込んだだけの知識は
どんなにたくさんあっても
その多くが現実には活かせないばかりか、
逆に行動を抑制する
障壁になってしまうことも少なくないんですね。
それで、知識の多い少ないではなく、
学習者自身に自己観察の姿勢や、
セルフラーニング力が
身に付いているかどうかが
何より大事なんだと気がつきました。
そして、自分にこのセルフラーニング力が
どれだけ身に付いたかを知る
ひとつのめやすは、
開高さんが言われているような
〝良い質問〟が出せるかどうかに
かかっていると言ってよいでしょう。
でも、わたしたちは学生時代に、
テストなどで正解を出すことは強いられても、
自分で問いを立てるという経験は
ほとんどしていませんし、
最初から良い質問が
スッと出せるような人なんてほとんどいません。
学校を卒業し、社会に出てみて
誰もが気がつくことなんですが、
世の中には最初から
正解が用意されているような質問など
ほとんど存在しないんですね。
とはいえ、焦る必要などまったくないのです。
わたしも三十代半ばになってようやく
質問力の大切さや
自ら問いを立てる姿勢の重要さに気がついて、
インタビューゲームを何度も
繰り返し繰り返し体験しながら、
自分は何を知っていて、何を知らないかを
ひとつひとつ確認していきました。
孔子も「無知の知」と言っているように、
知っていることと知らないことの境目について
常に自覚的であり続けようとするならば、
その人はおそらく永遠に
学習し続けることができるといってよいでしょう。
さて、それにしても
そもそもこの〝良い質問〟とは、
どういう質問のことを言うのでしょうね?
ぜひ、ご自身で考えてみてください。
ちなみに、質問力をテーマに書いた記事は
タグ「インタビューゲーム」のついた記事など、
この寺子屋塾ブログ内にはたくさんありますので、
ここでは2年以上前に書いた
古い記事を4つだけセレクトして
シェアしておきます。
・講座で事前に課題を出していた意図について
・いまを生きる姿勢がそのまま未来への準備に
・「知る」とはどういうことか(「論語499章1日1章読解」より)
なお、インタビューゲームは11/23に予定している
寺子屋デイ2024②にて実体験できます。
普段はお一人参加費を5,000円頂いている
プログラムなんですが、
この日は1,000円で体験できますので、
ご予定が空いてる方は
ぜひご参加くださいね〜 (^^)/
さて、いつもの癖で
長々と書き連ねてしまいました。(^^;)
昔サントリーのTVCMは秀作が多かったんですが、
開高健さんは1958年芥川賞を受賞される前に
サントリーの社員として
コピーライターをされていたことがあります。
1979年に制作され、開高さんご本人の
在りし日の姿を観ることのできる
サントリーオールドのCM映像をシェアすることで
「本日の名言」記事の結びとさせてください。
YouTube動画 1979年 サントリーオールドCM
【最近投稿した「今日の名言」シリーズ】
・老子「信言不美 美言不信 善者不弁 弁者不善」(今日の名言・その97)
・ボーヴォワール「あなたの人生を今日から変えなさい」(今日の名言・その96)
・鳴門親方「まいにち こつこつ やること たいせつです」(今日の名言・その94)
・遠藤滋「だって君はひとりで勝手に何かをやってゆくことなんてできないだろう」(今日の名言・その93)
・三代目魚武濱田成夫「夢をかなえる前にやってみるという事をかなえろ」(今日の名言・その91)
・空海『性霊集』より「自分の心を知ることがいのちの本源を知ること」(今日の名言・その90)
・ウディ・アレン「長続きする たったひとつの愛は 片思い」(今日の名言・その89)
・マルティン・ルター「明日世界が滅亡しても、今日私はリンゴの木を植える」(今日の名言・その88)
・モンドリアン「芸術には破壊的要素があまりに軽視されている」(今日の名言・その87)
・ジェームズ・ミッチェナー「生きることの達人は仕事と遊びの区別をつけない」(今日の名言・86)
・野口三千三「力を抜けば抜くほど力が出る」(今日の名言・その85)
・鈴木大拙「仏教には人間の生活そのものを宗教とみていく考えがある」(今日の名言・その84)
・大島清「外の世界は内なる自己を映し出す鏡」(今日の名言・その83)
・中村蓉「摩擦がなければ永遠なのに、摩擦がなければ愛じゃない」(今日の名言・その82)
・ニーチェ「自分を知ることから始めよう」(今日の名言・その81)
・土光敏夫「行動となって現れない思考は無用であり有害でさえある」(今日の名言・その80)
・ユング「易は自ら問いを発する人に対してのみ己自身を開示する」(今日の名言・その79)
・栗本慎一郎「ユニークであろうとすればユニークにはなれない」(今日の名言・その76)
・岡田謙三「弱くてはいけない。強くてもいけない。」(今日の名言・その74)
・ドビュッシー『ピアノのための12の練習曲』序文(今日の名言・その71)
・為末大「自分を認められるのは自分しかいません」(今日の名言・その69)
・J.クリシュナムルティ「あなたは世界であり、世界はあなたである」(今日の名言・その68)
・森下典子『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15の幸せ』より(今日の名言・その67)
・ハンナ・アーレント「世界最大の悪は、ごく平凡な人間が行う悪です」(今日の名言・その66)
・TVドラマ鈴木先生「体験は人間性を磨く上での貴重な教材だ。」(今日の名言・その65)
・ベートーヴェン「つねに行為の動機のみを重んじて帰着する結果を想うな」(今日の名言・その64)
・スヌーピー「配られたカードで勝負するしかないのさ」(今日の名言・その63)
・映画『シェルタリング・スカイ』より「満月が昇る姿をあと幾度見るだろう?」(今日の名言・その62)
・映画『マトリックス』より「これは最後のチャンスだ!青い薬を飲むか、赤い薬を飲むか?」(今日の名言・その61)
※(その61)の最後にその60以前の記事一覧を載せています
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●2021.9.1~2023.12.31記事タイトル一覧は
こちらの記事(旧ブログ)からどうぞ
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◎らくだメソッド無料体験学習(1週間)
詳細についてはこちらの記事をどうぞ!
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☆寺子屋塾に関連するイベントのご案内☆
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